目の前で人が血を噴き出して
真っ赤になっているというのに俺は何も感じない。
何年もの時間で慣れたのか、
それとも元よりおかしいのか。
横にいた狼の奴が泣き喚きも叫びもしなかったのは
何年とあなたと一緒にいたからだろうが。
…と言うか此奴は阿呆なのか?
話す話さない以前にその状況じゃ
話したくても話せないだろ
それのせいか息もし辛そうに見える上に
そのせいと叫び過ぎが相まってか
段々声が枯れていっている。
そう言うとリズは阿形に対してヒールの魔法を使った。
……いや悪魔が使うのであれば
魔法と言うよりは呪言に近しいのか?
失った部位までは戻らなかったが
血は止まり壊れた臓器も治ったのだから
幾分かは話せるだろう。
恐怖がどう邪魔をするかは知らないが。
………ここからやっと本題か
……辞めてくれだと?
散々やっておいて今更命乞いか?
逃げ惑う子供達を飲み込むように
目の前で猛々しく赤く燃え上がる炎。
あの時初めて会ったあなたの絶望に染まり
深く濁ったドス黒い瞳。
珍しくも自我を忘れ八つ当たりのように暴れ回って
泣き叫んでいたリズの痛々しい悲痛な叫び声。
ずっと鼻腔の奥に残る濃度の濃い薬品の臭い。
それら全て忘れる事など出来ない
壊れた人生の一端。
例え世界が貴様らを許しても。
生涯二度と許さない。
お前等のせいで化物に成り果てたこの姿も。
仲間を守るためだと言い張って
吐き続けた嘘も。
貴様等を殺す為なら平気で修羅の道に進んでやる。
例え護りたかった人に嫌われようとも。
全てを捨てようとも。
誰に何をされて自分で何をしようと、
地獄の果てまで追い回してやる。
さぁ誰なんだ。
俺達を地獄の底まで突き落とした悪魔は。
早く吐け
例えどこの誰であろうと俺がこの手で殺してやる。
例え自分の身内であろうと例え誰かの家族であろうと……
……………は、?
矢神………
矢神……?
……、あぁ…なんでだ
さっき心に決めたばかりだろう
誰の家族、身内であろうと容赦はしないと
……なんで……?
……彼奴は……誰よりあなたが大好きで家族も愛して…
何よりあなたに1番好かれていた筈だろ……、?
ならなんでコイツから海螺の名前が出てくるんだ
………おかしい…おかしいだろ…
だって…そうだろ……?
彼奴は………あなたの……











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!