ポチ、と電源ボタンが押されたリモコン。
先ほどまでは男性の顔写真や現場などが写されていたが、
リモコンを向けられたテレビの画面が真っ暗になる。
音が消えたリビングに男性が2人。
仕事なのか、2人ともスーツ姿でパンを頬張っている。
そう、浅木組は仲間想いなことで有名であり、
互いが互いを助け合い " 犯罪 " をする。
だからなのだろうか、構成員は1人も捕まっていない。
だが同時に、裏切りには手厳しい。
そんなことをした " 元 " 構成員は当然 " 報復 " を受ける。
処分されるか、気絶させられ警察署の前で放置されるか…
そんなところである。
しかし、一般人である彼らはそれを知る由もない。
笑いながら、食事をしながらこの話ができるのは、
やはり心の中で " 自分は関係ない " と思っているからか。
いくら「 怖い 」と評しても、結局その " 恐怖 " が
自分たちに降りかからなければなんでもいいのだ。
無音になっていた部屋に笑い声が響く。
ひとしきり笑ったあと、男性の片方が口を開いた。
こぽぽ、と、お茶を相手のコップに注ぎながら問う。
「 お、さんきゅ 」と礼を言った後、その男性は心底
可笑しそうに、何処に秘密めいた仕草で言った。
2人同時に、コップをぐいっと傾けて飲み干す。
かなり話していたから喉が渇いたのだろう。
「「 ご馳走さま 」」 、声と手を揃えたあと
かちゃかちゃと食器を片付け始めた。
尋ねられた男性は、右手の握り拳を顔の高さまで上げて、
親指だけを立てて、言った。
もうキッチンに行こうとした相手を引き留めた男性は、
今度こそ真実を口にした。
__ " 無能三人衆 " って呼ばれたらしい 」



吠えたその先に待ち受ける終焉
開幕 __











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!