さとみSide
女なんて、好きになること絶対にないのに。
あの女が、脳裏から離れない。
別に。どーでもいいはずなのに。
授業も、全く集中できず、上の空だ。
ー俺はいつも、仮面を被っている。
ーーいつも、そう、あたかも不良のように。
俺が仮面を被り続ける理由、それは単純なこと。
俺みたいな奴が、真面目にしたって信じて貰えない。
ーーーーーーー暴走族の息子だから
初対面の人だって、俺を知っている。
「こわい。」とか、「不良だ」とか
そう言われる。
だから、みんなのご想像通りに、振舞っている。
あなたに似合う男になるために、不良なんか辞めたいって、おもっている。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
ぺしっと莉犬に叩かれる
休み時間、別の学年のくせに何故か俺の教室にいる莉犬
何故か、教室の入口が騒がしくなっていた。
その原因の彼女を見た瞬間、暑くなって。
俺の頬が赤く染っている所を莉犬は見ていた。
ニヤリ、と笑う莉犬。
だけど、彼女はすぐそこまで来ていて。
無視を続ける莉犬にため息をつくあなた
かわいい。
と、いって帰ろうとするあなた。
そう、たんたんと話すあなた。
礼儀正しくていいこだ。
その色々を知っている俺は、なにも言えなかった。
ただ、これからは。サボるのはやめておこう。
いや、サボってもいいかもしれない。
そうすれば君は、俺のとこに来てくれるでしょ?
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!