私ね、貴方の事が好きなの。
貴方もね、私の事が好きなの。
だから両思い。これってとっても素敵でしょう?
こんなことなかなかないのよ。好きと好きがくっつくことなんて、大抵は上手く組み合わせられないのに。私たちってとっても幸せだわ。
やり直せない訳ないじゃない。私は何回でも貴方の事を好きになるのよ。
たとえ記憶を失ったとしても。すぐわかるんだから。
ねぇ、私貴方の事、好きになったわ。貴方との今までの記憶、欠けてしまったけど。でもいいでしょう?1番大事なものが欠けてないんだから。私は貴方を好きなんだから。
だからいいでしょう?その気持ち以外全部欠けていたとしても、私のことを愛してくれるのでしょう?
確か動物園だったよね。“私”が好きなものって。
今は嫌いだけれど、別にいいのよ。貴方が喜んでくれるのなら。
嫌いよ。この喋り方も、私の嫌いなタイプの女だわ。
でもね、貴方が喜んでくれるならいいの。こうやって喋ったら、貴方は愛しい目で私を見てくれる。それって、私のことを好きになるってことでしょう?
ねぇ、好きよ。貴方のこと。だから貴方もその分愛してね。
あら、大変。明日はデートだわ。
おめかししないとね。貴方が好きな服を着るの。
貴方の好きな物に包まれていると、貴方に抱きしめられてるみたいな気分になる。ねぇ、今すぐにでも貴方に会いたいわ。
鏡に映るこの私は、誰なのかしら。
貴方は誰が好きなのかしら。私は誰なのかしら。
トラックに跳ねられて……残ったのは、私の気持ちだけ。
でも、どうでもよくなっちゃったわ。
私は私を演じてればいいのよ。そう、例えば…マリーアントワネットみたいにね。
今の私の好きな物よ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!