第2話

マリーアントワネット
80
2020/10/05 13:41
私ね、貴方の事が好きなの。
貴方
………好きだよ。
貴方もね、私の事が好きなの。
私も……好き。
だから両思い。これってとっても素敵でしょう?

こんなことなかなかないのよ。好きと好きがくっつくことなんて、大抵は上手く組み合わせられないのに。私たちってとっても幸せだわ。
貴方
よかった…もうやり直せないかと思った…。
やり直せない訳ないじゃない。私は何回でも貴方の事を好きになるのよ。








たとえ記憶を失ったとしても。すぐわかるんだから。
ねぇ、私貴方の事、好きになったわ。貴方との今までの記憶、欠けてしまったけど。でもいいでしょう?1番大事なものが欠けてないんだから。私は貴方を好きなんだから。

だからいいでしょう?その気持ち以外全部欠けていたとしても、私のことを愛してくれるのでしょう?
今度の土曜日、デートしたいな。
貴方
うん、どこに行きたい?
私……動物園に行きたいな。
貴方
昔から好きだよね。
確か動物園だったよね。“私”が好きなものって。
今は嫌いだけれど、別にいいのよ。貴方が喜んでくれるのなら。
うん、記憶は失っちゃったけど……まだ好きみたい。
嫌いよ。この喋り方も、私の嫌いなタイプの女だわ。

でもね、貴方が喜んでくれるならいいの。こうやって喋ったら、貴方は愛しい目で私を見てくれる。それって、私のことを好きになるってことでしょう?
ねぇ、好きよ。貴方のこと。だから貴方もその分愛してね。

















あら、大変。明日はデートだわ。
おめかししないとね。貴方が好きな服を着るの。

貴方の好きな物に包まれていると、貴方に抱きしめられてるみたいな気分になる。ねぇ、今すぐにでも貴方に会いたいわ。



鏡に映るこの私は、誰なのかしら。

貴方は誰が好きなのかしら。私は誰なのかしら。
トラックに跳ねられて……残ったのは、私の気持ちだけ。
でも、どうでもよくなっちゃったわ。

私は私を演じてればいいのよ。そう、例えば…マリーアントワネットみたいにね。



今の私の好きな物よ。

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