第4話

drei 欲しいものは己の力で
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2021/05/05 08:07
街は暗く、いつもの賑わいはどこかへいってしまっている。
もうじき戦争が始まってしまうのだ。食糧は減り、国民は飢餓にみまわれるであろう。
キャプテン・ロイバァ
キャプテン・ロイバァ
こりゃ、出航できねーな。
1人の男は高台から港を見下ろしそう呟く。
港町は海岸により閉鎖されており、国から出ることも、国へ入ることもできない。
Δ(デルタ)国と戦争を控えているワイルダー帝国。
キャプテン・ロイバァ
キャプテン・ロイバァ
そういや、あそこの総統。
面白いもん持ってたよな……【魔女の涙】かも知れねーな。
回収……行くか
そして、彼はΔ国へ陸路で向かう。隣国のため簡単に行けるだろうと言う軽い考えで。
ーーーー
Δ国
いたも簡単に侵入できてしまう。
それほど、警備が手薄なのか、はたまた彼が海賊だからか……
キャプテン・ロイバァ
キャプテン・ロイバァ
Guten Abend(こんばんは)
Δ国 総統
な、何者だ!?
背後に立たれるまで気づいていなかったようだ。
キャプテン・ロイバァ
キャプテン・ロイバァ
巷で噂の海賊だよ…取り敢えず、お宝寄越せ
Δ国 総統
た、宝、だと?そ、んなものあるわけがないだろう!
震える声から動揺が溢れ出ている。
ピストルを突き付け、彼はさらに追い詰める。
キャプテン・ロイバァ
キャプテン・ロイバァ
出せよ…ほら?
くれたら生かしといてやるよ
ニコリと微笑む。
Δ国 総統
ほ、本当か?


こ、これだ
そっと差し出された十字架のペンダント。
真ん中には水色の宝石が嵌め込まれている。
キャプテン・ロイバァ
キャプテン・ロイバァ
へぇ……
Δ国 総統
【魔女の涙】と言われる幸運のペンダントだ!……これさえ有ればワイルダー帝国に勝利できる!!
ギラリと見える光なき瞳。まるで取り憑かれているようだ。
キャプテン・ロイバァ
キャプテン・ロイバァ
それ、寄越せよ
とペンダントをひったくる。
じっと見つめて、険しい表情を見せた。
キャプテン・ロイバァ
キャプテン・ロイバァ
チッ……んだよ。偽物じゃねーか。
Δ国 総統
な、なんだと!?そ、そんな筈が!!
あるわけない!!
キャプテン・ロイバァ
キャプテン・ロイバァ
俺の目は誤魔化せねーよ
バーカ
パンッと乾いた銃声が響き渡る。眉間を一発。
ショッピ
ショッピ
あ。
ふと、背後に気配を感じて銃口を向ける。
キャプテン・ロイバァ
キャプテン・ロイバァ
あ?
背後に居た人物…ショッピをみてロイバァは銃を下ろす。
ショッピ
ショッピ
もしかして、強盗の真っ最中でしたか?
キャプテン・ロイバァ
キャプテン・ロイバァ
そうだが………けど、もういいぜ。
偽物だったから
ショッピ
ショッピ
【魔女の涙】探し?
偽物やったんすか……残念っすね
ロイバァは死体をゴソゴソとあさり、何か探している。
それに便乗してショッピも情報を探す
キャプテン・ロイバァ
キャプテン・ロイバァ
バッチは捌けねーから……と、みっけ
取り出したのは液体が入った小瓶。
ショッピ
ショッピ
何っすか?ソレ
キャプテン・ロイバァ
キャプテン・ロイバァ
ちょっとエッチな薬…コイツは誰かに飲ませたがってたようだが、失敗したみたいだぜ?
ロイバァはニヤリと笑い十字架を見せる。

先程とは違う宝石が嵌められている。
ショッピ
ショッピ
キャプテ〜ン
その薬、証拠としてください
キャプテン・ロイバァ
キャプテン・ロイバァ
やーなこった。
欲しけりゃ奪ってみやがれ。
この俺から
ショッピ
ショッピ
ずるい〜!
キャプテン・ロイバァ
キャプテン・ロイバァ
それが、俺だからな
いつのまにか窓を開けて飛び出す準備をしているロイバァ
キャプテン・ロイバァ
キャプテン・ロイバァ
また、いつの日か会おう!
俺の宝よ!!
そう言い風と共に立ち去る。
ショッピ
ショッピ
宝って……恥ずかしいやろ…
そんな彼の言葉はロイバァには届かない

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