ピチョン…
風呂に入りながら、昼間の話を思い出した。
2人が実は血の繋がった兄弟で、
俺は兄貴と兄弟になって、
しかも阿部とクラスが一緒で、
阿部にも新しい弟がいて…
深く湯船に浸かり、そう呟いた。
あれから一緒に昼飯を食べて、また勉強して、夕方に阿部たちは帰った。
明日も勉強する?と聞くと、用事があるから無理と断られた。
帰り際、阿部が兄貴に、
と、にっこり笑って言った。
その笑顔は引き攣っていて、どこか寂しそうだった。
兄貴も、同じ笑顔で、そう返した。
聞き返さなかった。全く同じ意見だったから。
せっかく仲良くなった矢先、離れた息子が今日家に来ていたなんて、
聞いた時の顔を想像したら、言えるわけがなかった。
その状態での誕生日パーティー。
仕事から帰ってきた、何も知らない両親と、美味しい料理でお祝いしても、
俺も兄貴も、どこか沈んでいた。
コンコンッ
突然風呂のドアをノックされた。
かと思えば、何も言ってこない。
しばらくの沈黙の後、兄貴は言った。
この言葉は、阿部とのことを言っているのか、
はたまた、自分とのことを言っているのか、
聞き返す間もなく、兄貴は脱衣所から出て行った。
『仲良く』…
テストの心配よりも、阿部と顔を合わせることの方が、
少しだけ、怖かった。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。