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第9話

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2023/09/23 07:44 更新
ピチョン…
はぁ…
風呂に入りながら、昼間の話を思い出した。

2人が実は血の繋がった兄弟で、

俺は兄貴と兄弟になって、

しかも阿部とクラスが一緒で、

阿部にも新しい弟がいて…
…世の中、上手くできてんのかできてないのか、わかんねぇな……
深く湯船に浸かり、そう呟いた。




あれから一緒に昼飯を食べて、また勉強して、夕方に阿部たちは帰った。

明日も勉強する?と聞くと、用事があるから無理と断られた。


帰り際、阿部が兄貴に、
亮平
そういえば今日、誕生日だったよね?
おめでとう。
と、にっこり笑って言った。

その笑顔は引き攣っていて、どこか寂しそうだった。
辰哉
…おう、ありがとう。
兄貴も、同じ笑顔で、そう返した。




辰哉
いいか、照。
辰哉
今日亮平たちと会ったのは、2人には内緒だ。
…うん。
聞き返さなかった。全く同じ意見だったから。

せっかく仲良くなった矢先、離れた息子が今日家に来ていたなんて、

聞いた時の顔を想像したら、言えるわけがなかった。
その状態での誕生日パーティー。

仕事から帰ってきた、何も知らない両親と、美味しい料理でお祝いしても、

俺も兄貴も、どこか沈んでいた。



コンコンッ
辰哉
照。
、何?
突然風呂のドアをノックされた。
辰哉
……
……?
かと思えば、何も言ってこない。
何?
辰哉
……
兄貴?
辰哉
……
しばらくの沈黙の後、兄貴は言った。
辰哉
仲良く、しろよ…?
辰哉
…それだけ。
この言葉は、阿部とのことを言っているのか、

はたまた、自分とのことを言っているのか、

聞き返す間もなく、兄貴は脱衣所から出て行った。




『仲良く』…
……
…できるかな、俺たち……
テストの心配よりも、阿部と顔を合わせることの方が、

少しだけ、怖かった。

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