第3話

第二話
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2026/04/10 05:31 更新









冥王 志乃
っはぁ…はぁ……
冥王 志乃
あれ…夢…?


薄暗い部屋に突き刺さった細い光。

椅子に置かれたカバン。

昨日充電器に刺しておいたスマホ。

時間を見ると、6月13日6時15分だった。

あれが夢だったことに安堵して、ゆっくり体を起こす。

相変わらずギシギシ鳴るベッドから降りて伸びをする。

顔を洗いに洗面台に向かった。

…やっぱり疲れてるのかなぁ。

浮遊感、取れないなぁ。

でも仕事を休むわけにはいかないから。

スーツを着てサッと化粧を済ませる。

髪を適当に束ねて、朝ごはんのパンを焼く。

その間に洗濯機を回して掃除機もかけておいた。

パンを皿に乗せて机に置く。



冥王 志乃
いただきます。


パンを食べながら右ポケットに手を突っ込む。

スマホを取り出して今日のスケジュールを確認した。

ちらっと時間を見ると、ちょっとギリギリ。

慌ててパンをインスタントスープで流し込んで、バタバタとお皿をキッチンに持っていく。

歯を磨いてカバンを掴み、玄関まで走った。

鍵をかけて急いで階段を駆け降りる。

そのまま小走りで大通りまで出てきた。

信号は赤だった。

青になるのを待っている間にスマホで時間を確認する。

…間に合うけど一応急いで行こう。

そう思いながらスマホをまた右ポケットにしまう。

目の端に、見覚えのある小さな人影が映った。

青い長袖のセーターに黄色いボールの男の子。

男の子は走り出そうとしていた。

まだ信号は赤なのに。

私は反射的に男の子の腕を掴んだ。

男の子はびっくりして私の顔を見た。

くりくりした目で私を見つめる男の子はキョトンとしていた。

その瞬間、男の子のすぐ後ろを黒い車が通り過ぎた。

男の子はまたびっくりして私に抱きついてきた。

私はものすごく安堵して男の子の頭を撫でた。

男の子は少し怯えていたけれど、小さな声で、

「お姉ちゃん、ありがとう」

って言ってくれた。


冥王 志乃
車には気をつけるんだよ?

と言えば、男の子は元気よく

「うん!」

なんて言う。

可愛いなぁ、なんて思いながら頭を撫でていた。





ドンッ

冥王 志乃
え…

いつの間にか青になっていた信号。

横断歩道を渡っていた、灰色の長袖のセーターを着たお爺さんが、

シルバーの小さいワゴン車にぶつかって、アスファルトに打ちつけられた。

お爺さんの唸り声と、慌てて駆け寄る運転手の男性の声がずっと遠くに聞こえた。








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