___とある殺し屋会社
薄暗い廊下を、腥い血と動かぬ死体が埋める。
ここに居た者は全滅かと思われたが、
その中で、2人生存者が居た。
2人のうち、一方は腰が抜け怯えながら後ずさる男。
もう一方は、
何やら紙を手に男の方へ近ずいていく女。
女は男に近付き、身体同士を密着させた。
所謂、抱擁をしたのだ。
男は怯える。
しかし、女は逆に手でガッシリホールドし、
かわいい、と呟いている。
まるで、2人が恋人同士であるように。
女がそう呟くと、
男の背中から太い針が突き出した。
男は喉から出る乾いた声をあげて、死んだ。
女が男のホールドを解くと、男は後ろに倒れ、
傍らにベッタリと血溜まりができる。
目は、白目と言っていいほどひん剥いて、
血を吐いた唇は既に生者の色とは程遠い
紫をしていた。
___ 死刑囚の一人 ダンプ
刑罰:死刑
罪状:殺人、強盗致死、死体遺棄
犠牲者180人
女は次の標的のもとへと歩き出した。
薄暗い廊下に居る者は、
今や彼女しか生きて動くことはない。
__ 死刑囚 ダンプ
現在リスト殺害人数 3
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!