第12話

12話 そんなの認められない
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2025/02/22 11:26 更新
「え、俺に?」

涼太は驚きに目を瞬かせた。

バイト仲間の一人、優斗が真剣な顔で頷く。

「うん。ずっと前から、宮舘のことが気になってた」

シフト終わりの夜、カフェの裏口で突然の告白を受けた。
まさか自分が好意を向けられているとは思わず、涼太は戸惑う。

「えっと……」

「今すぐ答えを出してほしいわけじゃない。でも、俺と付き合うこと、考えてみてほしい」

そう言って、優斗は穏やかに微笑んだ。
悪い人じゃない。
けど――。

「ごめん、俺、そういうの考えたことなくて……」

「そっか。でも、もし気持ちが変わることがあったら教えて」

「……うん」

優斗が去り、一人になった涼太はため息をついた。
驚きと申し訳なさと、そして――心のどこかで浮かぶ“ある顔”。

(……翔太なら、こういうとき、どうするんだろ)

考えた瞬間、自分が無意識に渡辺翔太のことを思い浮かべたことに気づく。

(なんで……俺、翔太のこと……?)

胸の奥がざわついた。

***

翌日、バイトが終わる頃にちょうど渡辺がカフェに現れた。
「おつかれ」と軽く声をかけ、当然のように隣を歩く。

「……なあ、涼太」

「ん?」

「お前、誰かに告られた?」

「……っ」

驚いて足を止めると、渡辺はじっとこちらを見つめていた。


「……なんで、そんなこと聞くの?」

涼太は思わず問い返した。
渡辺の目が鋭く光る。

「バイト仲間の男、お前に妙に馴れ馴れしかった。……それに、昨日の顔」

「昨日の顔?」

「なんか、考え込んでたろ。わかんねぇと思ってんの?」

鋭い指摘に、涼太は言葉を詰まらせた。
翔太には、隠し事なんてできない。

「……うん、告白された」

渡辺の眉がピクリと動く。

「……それで?」

「断ったよ」

「……そうか」

渡辺は短く答えたが、その声は低く、不機嫌さを隠しきれていなかった。

「別に、そこまで深く考えたわけじゃなくて……。ただ驚いたっていうか……」

「……」

渡辺の足が止まる。
涼太もつられて立ち止まると、次の瞬間、ぐっと腕を引かれた。

「……なあ、そんなの認められるわけねぇだろ」

「……え?」

渡辺の顔が、すぐ目の前にある。
夜の街灯に照らされたその表情は、普段よりも険しく、そしてどこか必死だった。

「お前が誰かに告られるのとか……想像したくねぇんだよ」

「翔太……?」

渡辺は少し顔を背けるようにしながら、低く続けた。

「……俺以外のやつに、お前を好きになる資格ねぇよ」

その言葉が、じわりと胸の奥に染み込んでいく。
何かを誤魔化すように、渡辺はすぐに手を離した。

「……悪ぃ、忘れろ」

「翔太……」

胸が妙に高鳴る。
それは、優斗に告白されたときにはなかった感覚だった。

(……これって、なんなんだろう)

自分の中のこの感情が何なのか、涼太はまだはっきりとはわからなかった。

***

その夜、渡辺は一人で酒を煽っていた。

「……なんだよ、俺」

涼太が告白されたと聞いた瞬間、心臓を掴まれたような感覚がした。
もし涼太が他の誰かを選んでいたら?
――考えたくもねぇ。

(……やっぱ、俺……)

気づきたくない気持ちに気づいてしまいそうで、
渡辺は無理やり酒を流し込んだ

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