涼太を抱きかかえたまま、俺は焦りながら家へと急いだ。
腕の中の体は思ったより軽くて、だけどひどく熱かった。
「なんで無理してんだよ……」
胸がざわつく。
昨日のことを話したくて会ったのは俺のほうなのに、
涼太はきっと、無理してここに来たんだろう。
もっと早く気づいてやればよかった。
……違う、もっと前から、俺はこいつのことをちゃんと見てやるべきだった。
***
家に着くと、涼太をベッドに寝かせた。
額に触れると、熱が引く気配はない。
(これはもう、病院連れてったほうがいいか……)
悩んでいると、涼太が薄く目を開けた。
「……翔太?」
「起きたか」
「……ここ、翔太の家?」
「お前が倒れたから、運んだんだよ」
「……ごめん」
涼太は申し訳なさそうに眉を寄せる。
「……謝るな」
「でも……」
「なんで俺に隠す、、?」
「……え?」
「前から思ってた。たまにしんどそうなのに、無理して笑ってるし……。今日だって、体調悪いなら言えよ」
俺の言葉に、涼太がはっと息をのむ。
「……言えなかったんじゃなくて、言いたくなかった」
「なんで?」
「……翔太には、心配かけたくなかったから」
その言葉に、胸が締め付けられる。
「バカかよ……」
涼太は俺のことを考えて、隠してたんだ。
俺のほうこそ、涼太の気持ちなんて考えてなかったのに。
「……なあ、涼太」
「ん……?」
「俺、お前が好きだ」
「……え」
「もう、言い訳しねぇ」
涼太が大きく目を見開く。
「昨日、お前にキスしたのは、酔った勢いとかじゃねぇよ」
「……」
「俺、お前が他の誰かのものになるとか、耐えられねぇんだよ」
涼太は驚いたまま、じっと俺を見つめていた。
「……翔太、俺のこと……本当に?」
「本当だ」
涼太が一瞬、目を伏せる。
「俺……翔太のこと、大事な友達だって思ってた。でも……最近、それだけじゃない気がしてて……」
「……」
「翔太にキスされたとき、すごく驚いたけど、嫌じゃなかった」
「……それ、つまり……」
「わかんない。でも、翔太がそう言ってくれるなら……俺も、もっとちゃんと考えたい」
俺は涼太の手をそっと握る。
「じゃあ、俺のそばにいてくれ」
「……うん」
涼太は少し照れたように笑った。
(……もう、こいつを離すつもりはねぇからな)
俺はそっと、涼太の髪を撫でた。
次回予告












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!