涼太が「そばにいる」と言ってくれたことで、
俺たちの関係は少しだけ変わった気がした。
──俺はもう、涼太を”友達”なんかじゃ見れない。
ちゃんと”恋人”になりたい。
けど、涼太はまだ答えを出せずにいる。
焦らせたくはないけど……このままも嫌だった。
そんなことを考えながら、涼太の髪を撫でていたら、
「……ん」
と、小さく寝息を立てるのが聞こえた。
(……やっと寝たか)
熱はまだ高い。
今は休ませるのが一番だろう。
俺は立ち上がり、そっと部屋を出ようとした。
けど──
「……っ」
涼太の寝顔を見た瞬間、胸の奥がぎゅっと締めつけられる。
(なんか……やっぱり、おかしいよな)
前から気になってた。
涼太は無理をしすぎる。
今日みたいに体調を崩しても言わないし、
どこか”自分は大丈夫”だと思い込んでるみたいなところがある。
──まるで、慣れてるみたいに。
(……隠してること、あるよな)
何度か聞こうとしたけど、そのたびに流されてきた。
でも、もう見て見ぬふりはできねぇ。
「……絶対、言わせるからな」
涼太の手をそっと握る。
頼るなら、俺にしろよ。
***
翌朝、涼太はまだ少し熱があるみたいだった。
「ちゃんと寝れたか?」
「……うん」
「他にしんどいとこは?」
「平気。……昨日は、ごめんね」
「謝んな。お前が無理しすぎなんだよ」
涼太は少し視線をそらした。
やっぱり何かを隠してる。
「なあ、涼太」
「……なに?」
「俺ら、これからちゃんと向き合ってくって決めたんだよな?」
「……うん」
「じゃあ、隠しごとはなしだろ?」
「……っ」
涼太の肩がピクリと揺れる。
「俺、ずっと思ってた。お前、なんか隠してるよな」
「……」
「ちゃんと教えてくれ」
俺は、まっすぐ涼太を見つめた。
涼太は少しの間、迷っているようだった。
けれど──
「……俺、実は……」
静かな声で、ついに涼太が口を開いた。
俺は、息をのんだ。






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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!