第14話

14話 忘れろよ、こんなん
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2025/02/23 22:04 更新
唇が触れた瞬間、涼太の体がピクリと震えた。
それでも、俺は引かなかった。

(もう、止まれねぇ)

何度も噛み殺してきた気持ちが、抑えられなくなっていた。
ずっとそばにいた。
ずっと俺のものだった。
それなのに、誰かに奪われるかもしれないなんて──

「っ……翔太……」

涼太の声に、ようやく理性が戻る。
息を切らせながら、目の前の涼太を見つめた。

――ひどく、怯えた顔をしていた。

その表情を見た途端、全身の血が一気に冷める。

(俺、何やってんだよ)

「……悪ぃ」

俺はすぐに涼太から離れた。

「……ごめん」

呆然とした涼太が、そっと唇に触れる。

「なんで……急に……」

「忘れろよ、こんなの」

それだけ言い残し、俺は部屋を飛び出した。

***

夜風が肌を刺すほど冷たいのに、体の奥が熱くて仕方なかった。
走っても、歩いても、涼太の顔が頭から離れない。

「……俺、バカかよ」

なんであんなことした?
なんで止められなかった?
なんで涼太があんな顔するって、考えなかった?

自分の中で膨れ上がった独占欲が、抑えきれなくなって、
気づいたらキスなんかして、挙げ句、あんな言葉で誤魔化して。

(……俺、最低だろ)

涼太を困らせたくなかったのに。
ただ、そばにいてほしかっただけなのに。

「……もう、終わりかもな」

自嘲しながら、夜の街をふらつく。
このまま、涼太と気まずくなって、距離ができて、
それで終わるんだろう。

――だったら、最初から気づかなきゃよかった。

俺が涼太を特別だって、そんな当たり前のことに。

***

翌朝、ひどい頭痛とともに目が覚めた。
最悪の気分だ。

でも、それ以上に最悪だったのは──

スマホを見た瞬間、涼太からの未読メッセージが目に飛び込んできたことだった。

「話したい」

たったそれだけの言葉なのに、心臓が跳ねた。

(……終わり、じゃないのか?)

期待なんて、したくなかった。
でも、涼太が話したいと言うなら、向き合うしかない。

俺は震える指で、「わかった」と返信した。

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