第38話

答えはいつも自分の中にある(4)
909
2023/04/09 10:46 更新
「ちょっと提案があんだけど」
昼食時。ふと立ち寄ったレストランで料理が運ばれるまで待っていると、蓮が開口一番言った。
(なまえ)
あなた
「どうしたの、蓮」
「午後からは、竜胆はあなたと一緒に俺たちが乗り物終わるの待っててくれ」
(なまえ)
あなた
「え、どうして?竜胆いた方が楽しいじゃない」
「母さん、僕もそうした方がいいと思う」
(なまえ)
あなた
「どうして?竜胆が居たら偶数になって乗り物乗れるのに」
百合
「ママ、私からもお願い。ママを一人にさせてる時間、こっちは気が気じゃないの」
(なまえ)
あなた
「どういうこと?」
竜胆
竜胆
「俺もそう思ってた。お前たちが良いなら、そうしようぜあなた」
(なまえ)
あなた
「えっでも…」
「もうこれ以上あなたがナンパされるのを見ていられないんだよ、こっちは」
「本当だよ。合計2回はナンパされてるよ、母さん」
百合
「あお兄、3回よ3回。さっきの店員、めちゃくちゃ可愛いお母さんが居るって言ってたの聞こえたもん。もう、ナンパしてるのも当然でしょ。視界にママを入れてる時点で罪なのに」
あなたはあれからずっと乗り物には乗らないで、俺とチビ達の帰りを出口で待っているのだが、俺とチビ達が帰ってくるたびに、あなたに声をかける男が後を絶たなかった。
(なまえ)
あなた
「私は大丈夫だよ?今度こそ断ってみせるから!」
竜胆
竜胆
「あなたは人の頼みを断るの苦手だろ。だから、隙をつかれるんだよ」
「そうだよ、母さん。ナンパしてくるやつに対して、母さんは優しすぎる」
百合
「ママ、男なんて厳しいぐらいで丁度良いんだから、もうちょっとキツイ態度取ってもいいんじゃないの?」
(なまえ)
あなた
「うーん、でもさぁ、みんな道迷ったり、友達探したりしてるんだよ。困ってるのに助けないのってどうなの?可哀そうじゃない」
あなたの言葉に、俺含めチビ達3人が深くため息を吐いた。

こういう時、兄ちゃんが居たら「お前は頭が花畑だなー♡」と一笑しつつも、すぐに「いいから、お前は俺の横に居ろ」と言って耐えず自分の隣に居させたに違いないと思った。
「とにかく、あなたは竜胆と一緒に居ろよな。長男命令!お前たちも異論はないな?」
「長男命令っていうのが癪だけど、異論はない」
百合
「私も癪だけど。ママの方が大切だし」
「よし、じゃあ午後からは竜胆よろしく」
そういうことで俺は久しぶりにあなたと二人っきりの時間を過ごせることになった。

チビ達は次々にあれに乗りたい、これに乗りたい、あの場所に行きたい、この場所に行きたいと言い、俺とあなたはその後ろ姿を追いかけるように歩く。

傍から見たら俺とあなたは夫婦で、目の前を歩くチビ達が子供だと思われてるんだろうな。

悪くない。今だけ夫婦のフリをしたって罰はあたらないだろう。

それにしても俺ががっちりあなたの腰に手を回して密着しているのに、男の視線が絶えないのがむかつく。

この公の場でディープキスをして、あなたが俺の女ということを馬鹿な男どもに分からせてやりたかったが、何日か前にはっきりと「ごめん」と言われているので、それもしにくい。

ふと通りがかった男が隣で笑っているあなたを見つめていたので、俺はわざと大きな咳をして、それから男にガンを飛ばした。

ガンを飛ばされた男は気まずそうに俺を見て、即座に隣に居る彼女の顔へと視線をずらした。

女が居るのにあなたに見惚れる気持ちはよく分かる。それほど、あなたは可愛いし、綺麗だ。

兄ちゃんが家の外から出したくないと常々言っている理由がよく分かる。
「次はタートルトーク行こうぜ!」
蓮がそういうと、葵と百合は嬉々として喜んだ。

あなたはやっと家族みんなで楽しられるアトラクションに楽しみで仕方がないといった顔をした。

タートルトークは、亀のクラッシュが客の質問になんでも答えてくれるというバラエティに富んだアトラクションで、お笑い好きのあなたはこれが好きだった。

家族みんなで列に並び、クラッシュが居る場所に家族横一列に並び、少し待つと目の前のスクリーンにクラッシュがこちらに向かって泳いできた。
クラッシュ
クラッシュ
「サイコ~サイコ~!!よぉ、みんなこんにちは!お前たち最高だぜ!」
客「「「「「おぉ~!!」」」」」
クラッシュ
クラッシュ
「おいおいおい、俺たちウミガメの挨拶を知らない奴をこっちの後ろの方で見つけたぞ?一番前の列で通路側から2番目の大人だ。やぁ、こんにちは」
クラッシュが一人目の男にはウミガメの挨拶の仕方を伝授し、二人目の親子連れをあてて、3人目の若い学生の子に「大好物なものは何か?」を聞き、最後に「俺に質問があるやつはヒレを挙げてくれ」と言った。

チビ達がピシッと天まで届くように手を挙げるのと同様の他の子どもも、ましてや大人も手を挙げていた。

一人目の質問は「愛ってなんですか?」

突拍子のない質問に、会場がどっと笑いが押し寄せる。俺も馬鹿らしいと思って吹き出した。
クラッシュ
クラッシュ
「自分で考えろ」
クラッシュの回答に観客がまた笑う。でも、それだけじゃないのがクラッシュだ。
クラッシュ
クラッシュ
「ハハハッ。でも、その答えはさ色んな答えがあっていいと思うんだよな。それぞれさ自分が生きてきた中で必死に出した答えであれば、きっとそこに間違いとはないんだ。でも、誰かに簡単にもらった答えじゃ、決して自分の答えにはならない。それが愛だと思う」
会場が「おぉ~~~!!」と感動の拍手で溢れる。

俺もおぉ~と感銘の声が出た。

そうだよな。愛なんてみんな違う形で良い。俺があなたを想っていることも、一つの愛の形だ。

クラッシュは続けた。
クラッシュ
クラッシュ
「例えるならば、海みたいな感じかな。すっげー優しくて、とっても綺麗さ。でも、深く潜りすぎると周りが見えなくなる。だから、愛に溺れんなよ。お前たち、最高だぜー!」
客「「「「「おぉ~~~!!!!!」」」」」

次の質問は、「ありがとうという言葉以上に言える言葉はないか?」
クラッシュ
クラッシュ
「…ありがとうでいいんじゃないか?」
あっけらかんとした回答に、また会場が笑いに包まれる。
クラッシュ
クラッシュ
「でも、大事なところを見落としているな。大事なのは、言葉の種類じゃないんだよ。そのありがとうっていう短い言葉の中に、どれだけ君の心が詰まっているか。それが大事だと思う。お前の気持ちはきっと伝わるぜ。それ以上の言葉はきっとないんじゃないかな。頑張れよ。お前たち、最高だぜー!」
「「「「「おぉ~~~!!!!」」」」」

確かに言葉なんて、一つの道具に過ぎない。

大切なのはいつだって自分の心だ。

俺は視線を前からずらして、隣に座っているあなたを顔を見る。

あなたは瞳をキラキラさせて、まるで子供のように笑っていた。

最後の質問になると、いよいよ子供たちが声を張って「はい!はい!!」「クラッシュ!こっち!」「私質問あります!!」と叫んだ。
「あなたも竜胆も手上げてよ!」
蓮にそう言われて俺とあなたは勢いよく手を挙げた。

すると、クラッシュが「おっ元気がいい大人を発見したぞ!」と言い、「一番奥の左側に座っている、そこの大人!白いワカメを頭につけてるやつ~」とあなたを指名した。
「うわっあなたかよ!」
「母さんやったね!」
百合
「ママ、すごい!」
クラッシュはあなたの名前を聞く。
クラッシュ
クラッシュ
「あなたか、良い名前だ。あなた、質問はなーに?」
(なまえ)
あなた
「あっ…あの…あの」
クラッシュ
クラッシュ
「緊張してるなーあなた(笑)」
客「「「「(笑)」」」」」」」

会場が穏やかな笑い声で溢れる。
「あなた、俺と結婚できる方法がないか質問して!」
「母さん、父さんを一生帰ってこなくする方法を質問して!」
百合
「ママ!パパが浮気してたこと相談して!!」
チビ達が次々にあなたにお願いをした。
(なまえ)
あなた
「あ、あの…私の質問は…」
クラッシュ
クラッシュ
「おーなんだー?」
(なまえ)
あなた
「クラッシュは…シェリーに裏切られたらどうしますか?」
クラッシュ
クラッシュ
「なんて質問するんだ(笑)」
客「「「「「(笑)」」」」」
クラッシュ
クラッシュ
「そうだなぁ…例えもし、シェリーが俺のことを裏切ったとしても俺はシェリーを愛せる自信がある。何があっても俺はシェリーのことを愛しているんだ。それほど、俺たちには強い絆がある」
クラッシュ
クラッシュ
「あなたは誰かに裏切られたのか?」
(なまえ)
あなた
「はい…夫に…」
クラッシュ
クラッシュ
「そいつのこと、まだ愛しているか?」
(なまえ)
あなた
「………はい」
クラッシュ
クラッシュ
「なんだぁ愛しているのかぁ。じゃあ、もう一度だけ信じてみればいいんじゃないか。あなたがそいつのことを本当に愛しているのなら、そいつのことをもう一度信じてやるのも愛することだと俺は思う。もし、それで駄目だったら、ここに沢山の男が居るからその中からいい男を見つけられると思うぜ。あなたは人間の中でもとーっても可愛い女性だと思うぞ」
クラッシュにそういわれて、暗闇の中でもあなたが顔を赤くするのがよく分かった。
クラッシュ
クラッシュ
「頑張れよ、あなた。応援してるぜ。お前たち、最高だぜー!」
客「「「「おぉ~~~!」」」」
うま(作者)
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