第2話

file09――点から線へ②
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2026/04/22 11:00 更新
黒峰 宗牙
なあ、この部屋の鍵は誰が普段持ってるんだ?
菊蘂 総司
職員室で管理してるよ。
菊蘂 総司
でも、普段は警備員と一部の教師しか立ち入らないね。
そう言いながら、解除キーのカードをかざし、右手を添えて扉を開く。

中に入ると、2名の男性が椅子に座り防犯カメラの映像を目前に雑談をしていた。

誰かが入ってきたことに気づきこちらを向くと、慌てた様子で立ち上がる。
中村 和也
菊蘂様!本日はどのようなご要件で?彼らは一体…
総司の顔色を伺うようにしながら話す彼らは、どうやらこの学園の警備員の者のようだ。

胸元にこの学園の警備員が揃ってつけているピンバッジを身につけている。
透羽 真
事件の調査をしに来ました。<ネスト>所属の探偵、ライアーシェイドです。
ワトスンノートを再び取り出し2人に見せると、ふたりは少し驚いた様子で慌てて自己紹介をする。
中村 和也
これはこれは、ネストの方でしたか。
中村 和也
私はこの学園の警備員をしています。中村和也なかむら かずやと申します。
木下 涼介
同じく警備員の木下涼介きのした りょうすけです。
2人が丁寧にお辞儀をしたところで、総司が口を開く
菊蘂 総司
事件当時の監視カメラの映像を見せて欲しいそうだからね。今すぐ確認できるかい?
それを聞き「はい」と返事をすると、2人はすぐデスクへ向い、1分もせずに映像を引き出してきた。
黒峰 宗牙
おお、すげえなおっさん!
宗牙の言葉に謙虚に答えながら和也が画面をこちらへ見やすいように動かす。
中村 和也
これが3月19日の夕方 に1人目の被害者の死体が発見された付近の監視カメラの映像です。
すると涼介がもうふたつのモニターを起動し映像を表示する
木下 涼介
出ました、右のモニターが2人目の被害者、左のモニターが3人目の被害者の事件当時の付近の監視カメラの映像です。
そう言われ出された3つの映像には、確かに犯人の映像も被害者の映像も残っていない。

まるで、監視カメラの死角を付いているようだ。

静かに映像を見ているが、それらしい人物は全く映らない。
透羽 真
映像が書き換えられた形跡は?
木下 涼介
既に調査済みですが、そのような形跡は何処にも…
透羽 真
そうですか…
三枝 美澪
確かに何も写っていないな。真、どうする?
美澪の問いに少しすました顔で
透羽 真
いいんだ。本当に見たい映像は、これじゃないからね。
と答えると、2人目の被害者が殺害された6月15日の前日と翌日の監視カメラの映像を移すように伝える。

先程と同じく、涼介と和也は素早い手つきでキーボードを打ち映像を表示した。
透羽 真
涼介さんは、左利きなんですね。
木下 涼介
ええ、一応矯正しているので右手も使えるんですが
木下 涼介
元々左利きなせいか、咄嗟に左手が出てしまうんですよね
中村 和也
映像出ました!
透羽 真
ありがとうございます
流れた映像はただの日常風景。

休憩時間なのだろう、たくさんの生徒や教師が行き交っていく。

その映像を約5分ほど静かに眺めていると、真はいきなり、まるで獲物を捉えるような目をした。

口角を少しあげ、不敵な笑みを浮かべる。

今まで繋がりのないただの点の集まりだったこの事件に、やっと線が生まれ、立体的なものとなった高揚感があった。
黒峰 宗牙
真?
宗牙がそう声をかけると同時に、真がその口を開く。
透羽 真
菊蘂さん、明日の朝、学園長室に今送ったリストの人を集めていただけますか?
菊蘂は自身のアカウントに届いたメッセージを確認すると、それ以上何も聞かずに笑顔で頷いた。

状況の理解に追いつかない宗牙と美澪を置き去りに、真は
透羽 真
ご協力ありがとうございました。
と警備員2人に伝えると、颯爽と帰る準備を済ませ部屋を出る、宗牙と美澪も後に続いて足早に学園をあとにした。
真は美澪と宗牙の1歩前を歩き、その後を追うようにふたりが歩く。
三枝 美澪
真、あの映像のどこに犯人に繋がる情報があったのか、俺には分からないんだが
美澪の言葉に宗牙も大きく頷くと、真は2人の方に向き直り、右手の人差し指を立てて口元に当てた。
透羽 真
明日のお楽しみだよ。
透羽 真
それに、実はあとひとつ、謎が残っているんだけどね。
透羽 真
それは本人から聞こうじゃないか。そうだろう?
透羽 真
美澪
美澪が唾を飲み込みその瞳に真を映す。

美澪の少し上がった口角を見て、真は静かに笑った。
透羽 真
台本はもう、頭に入ってるよ。
それを聞くと、宗牙は少し苦しい顔をして真を見つめる。

真が綻び始めている。

だが、今の真を崩したら、明日までに治るかが分からない。

真に今日の夕食は真の好物を作ろうと宗牙が言うと、真はとても嬉しそうに揚々と帰宅した。
宗牙は、帰りに寄ったスーパーで夜ご飯の食材を買いながら、少し悲しい顔を浮かべていた。

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