そう言いながら、解除キーのカードをかざし、右手を添えて扉を開く。
中に入ると、2名の男性が椅子に座り防犯カメラの映像を目前に雑談をしていた。
誰かが入ってきたことに気づきこちらを向くと、慌てた様子で立ち上がる。
総司の顔色を伺うようにしながら話す彼らは、どうやらこの学園の警備員の者のようだ。
胸元にこの学園の警備員が揃ってつけているピンバッジを身につけている。
ワトスンノートを再び取り出し2人に見せると、ふたりは少し驚いた様子で慌てて自己紹介をする。
2人が丁寧にお辞儀をしたところで、総司が口を開く
それを聞き「はい」と返事をすると、2人はすぐデスクへ向い、1分もせずに映像を引き出してきた。
宗牙の言葉に謙虚に答えながら和也が画面をこちらへ見やすいように動かす。
すると涼介がもうふたつのモニターを起動し映像を表示する
そう言われ出された3つの映像には、確かに犯人の映像も被害者の映像も残っていない。
まるで、監視カメラの死角を付いているようだ。
静かに映像を見ているが、それらしい人物は全く映らない。
美澪の問いに少しすました顔で
と答えると、2人目の被害者が殺害された6月15日の前日と翌日の監視カメラの映像を移すように伝える。
先程と同じく、涼介と和也は素早い手つきでキーボードを打ち映像を表示した。
流れた映像はただの日常風景。
休憩時間なのだろう、たくさんの生徒や教師が行き交っていく。
その映像を約5分ほど静かに眺めていると、真はいきなり、まるで獲物を捉えるような目をした。
口角を少しあげ、不敵な笑みを浮かべる。
今まで繋がりのないただの点の集まりだったこの事件に、やっと線が生まれ、立体的なものとなった高揚感があった。
宗牙がそう声をかけると同時に、真がその口を開く。
菊蘂は自身のアカウントに届いたメッセージを確認すると、それ以上何も聞かずに笑顔で頷いた。
状況の理解に追いつかない宗牙と美澪を置き去りに、真は
と警備員2人に伝えると、颯爽と帰る準備を済ませ部屋を出る、宗牙と美澪も後に続いて足早に学園をあとにした。
真は美澪と宗牙の1歩前を歩き、その後を追うようにふたりが歩く。
美澪の言葉に宗牙も大きく頷くと、真は2人の方に向き直り、右手の人差し指を立てて口元に当てた。
美澪が唾を飲み込みその瞳に真を映す。
美澪の少し上がった口角を見て、真は静かに笑った。
それを聞くと、宗牙は少し苦しい顔をして真を見つめる。
真が綻び始めている。
だが、今の真を崩したら、明日までに治るかが分からない。
真に今日の夕食は真の好物を作ろうと宗牙が言うと、真はとても嬉しそうに揚々と帰宅した。
宗牙は、帰りに寄ったスーパーで夜ご飯の食材を買いながら、少し悲しい顔を浮かべていた。











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!