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第40話

【番外編シリーズ #2】ナンパ
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2025/10/11 23:00 更新
イブくんと初めての待ち合わせです!

というか、人の多い場所で、
だれかと待ち合わせることが初めて!
いつも友達の家に一旦集まってから、とか。

洋平と待ち合わせもするけど、
基本的に洋平が先に来ててくれるし、
遅れてもすぐに来るから、
「待つ」ってことが新鮮だ。

なんか、そわそわしちゃう。

この人の多い中で、
イブくんは私を見つけてくれるのかな?
見つけてくれた時、どんな顔するんだろう。

まだ見ぬイブくんに出会えるかもしれないと思うと、
どうしたって鼓動は速くなった。
ナンパ野郎
おねーさん、今ひま?
俺ちょっと落し物しちゃって困っててさー。
一緒にさがしてくんない?
激しく動く胸を押さえるように立っていたら、
なにかの影で覆われる。
あなた
(え……、私に言ってる?)
ナンパ野郎
ね? いいでしょ?
あなた
(ど、どうしたら……?!)
困っているのなら、助けてあげなきゃ、
とは思う。思うんだけど……。

なんだろう、この違和感は。

対応に思いをめぐらせていると、
両肩にどしんと重みを感じて、
一瞬、ヒヤッとした……のもつかの間。

背後に立つその人物から、
嗅ぎなれた匂いがしたのを察知して、
私は変な緊張から解き放たれる。
イブ
ダメですよー。
この人、俺のなんで
ナンパ野郎
あ?!
んだよ、待ち合わせかよ……、ちっ
落し物をして困っていると言っていたはずのその人は、
舌打ちを残していなくなった。
あなた
イブくん!
あの人ね、落とし物して困ってるって言ってたの
イブ
ふむ?
あなた
なのに、……イブくんが来たら探しもしないで
行っちゃったけど……良かったのかな?
状況の説明をしたはずなのだけれど、
イブくんが……、キョトンとしてる。

……なにかおかしいとこあったかな?

私が首を傾げると、
両肩にあった手は片手になり、
イブくんは笑顔で私の頭を撫でた。
イブ
あのね、あなたさん
そして、ゆっくりと目を合わせて話し出す。
……肩を組まれたままの距離に、
勝手にドキドキしたのは、内緒。
イブ
落し物探したいのに、あなたさんにだけ声かけるの
おかしいの、わかる?
あなた
あ!
感じていた違和感は、それだ!

探したいなら、私だけじゃなくて色んな人に
手伝ってもらいたいだろう。
なのに、私にだけ言ってきたから……、
だから変な感じがしてたんだ。
あなた
でも、じゃあ、なんでそんな嘘言ったのかな……
イブ
あなたさん。
あれね、
ただのナンパだから
あなた
え!
今のが噂に聞くナンパなの?!
イブ
ははっ、噂に聞いてんの?
あれ、イブくんに笑われてる?
……おかしなことは言ってなくない?

頷く私に、イブくんは、
すごく優しい顔で頭を撫でてきて、
イブ
可愛すぎて心配なんだが。
ま、初めてのナンパを経験できて良かったね。
次からは知らない人に声を掛けられても無視だからね
諭すように、ゆっくりと。
まるで小さい子に教えるみたいに
イブくんは私に話してくれた。
あなた
どうやって判断するの……?
イブ
「待ってる人がいるので、
その人が来たらでいいですか?」

って、聞いてみると、いいかもね
あなた
わかった!
そうしてみる!
私は大きく頷いて、理解したことをイブくんに伝える。
イブ
ま、もう、外で待ち合わせとかしないけどね。
初ナンパとか、今までは洋平が守ってたんだなぁ。
あいつ、やるやん
あなた
イブ
基本、家まで迎えに行くから。
待ち合わせという概念は封印な
「一応洋平に礼でも言っとくかー」
とイブくんは呟いてから、

肩に回していた手をおろし、私の手を握った。
イブ
さ、デートいこ。
もはやもう帰りたいけど
あなた
え、帰りたいの?!
な、なんで?
私なにか────
慌てる私の耳元に口を寄せたイブくんは、
イブ
人のいないとこ行って、ずっとキスしてたい
と、私が溶けることを囁いた。


🄴🄽🄳


【ひとこと】
溶けた。

私がw


イブくんがなんか……すごく甘い人になってるんです。
なんでですかね……。
優しく喋ってるの見てると、
なんかもう、たまらんのよ!

さらっとね、「俺のなんで」って
イブくんは言ってくれるかなって思います。

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