2017.12.10.
たくさんのファン "ARMY"
その波の中に、あなたの下の名前はいた。
座席は2階席。
隣をふと見ると、ドジュンオッパも少し緊張しているのが分かる。
いつも落ち着いている横顔が、今日はほんの少しだけ硬かった。
暗転。
その瞬間、会場の空気が変わる。
あなたの下の名前の世界は、一瞬にして"紫"に染まった。
ずっと画面の中で見ていた7人が、そこにいる。
歌って、踊って、光の中心で生きている。
夢みたいで、でも確かに現実で。
時間は指の隙間から零れるみたいに、あっという間に過ぎていった。
そして、最後のメント。
涙を拭うメンバーもいて、会場は静かに揺れていた。
その中で、あなたの下の名前の心にまっすぐ届いたのは、リーダーRMの声だった。
一言一言が、ゆっくりと落ちてくる。
紫の光が、静かに揺れていた。
"過去"
それはあなたの下の名前にとって、目を背けたくなるほどの辛い記憶。
それでも、それさえも"自分の一部"だと、そう言われた気がした。
その瞬間、あなたの下の名前ははっきりと思い出した。
小さい頃。
歌うたびに、オンマとアッパがたくさんたくさん褒めてくれたこと。
「 あなたの下の名前は、いつかアイドルになるのかな?」
オンマが、優しくそう言ってくれた声。
忘れかけていた夢。
忘れたふりをしていただけの夢。
あなたの下の名前の心の片隅には、それはまだ、こんなにも大切に残っていたのに。
紫の海の中で、胸いっぱいに広がっていく。
"アイドル"が。
ただ、心の底から、羨ましかった。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。