第24話

≒ 22
433
2026/04/04 05:33 更新
久しぶり
あなた
たろちゃん……

腕を掴み、私を引き止めた人物は、紛れもないたろちゃんだった。
あなた
なんで……
岡山 太郎
なんでって、あなたの下の名前を見かけたから?
萩原研二
あの〜、感動の再会……?を果たしているところ悪いけど……信号、赤になっちゃうから
あなた
あ……
岡山 太郎
おお、ほんとだ


萩原が、苦笑いを浮かべ、信号を指さす。

青信号がチカチカと点滅し始めたので、急いで渡る。
松田陣平
で?そいつが例の?
萩原研二
ちょっと陣平ちゃん、失礼だって
岡山 太郎
"例の"って?
あなた
あーっと……それは……っていうか!今までどこで何してたの!?
何も連絡なしに突然音信不通とか聞いてないんだけど!?
諸伏景光
音信不通って、事前連絡とかするもんだっけ……?
伊達航
さぁ……
岡山 太郎
音信不通?何の話だ?
あなた
は?

まるで話が噛み合わない。
あなた
と、とりあえず、ここで立ち話もなんだし、場所を移そう


私たちは、場所を移してとある喫茶店に入った。
いらっしゃいませ、空いてるお席どうぞ


適当に席に座り、改めて話を整理する。
あなた
えっと……まず、何から整理するべき?
とりあえず自己紹介?それとも、いきなり本題ぶち込んで大丈夫?
やっぱり最初は他者紹介かな?
岡山 太郎
とりあえずお前が落ち着け
あなた
……話題の中心だったはずの人が1番冷静なのムカつく
萩原研二
まぁまぁ。とりあえず、俺らは自己紹介した方がよさそ?
あなた
うん、そうだね


各々が自己紹介を終え、次のステップに移る。
移る、はずだった。
岡山 太郎
へーぇ、みんなコイツの同期なんだ?
見えねぇ

私にもみんなにも失礼と取れる発言に、5人はどう対応しようか困っている。
あなた
ねぇそれ、どういう意味?


幼なじみ代表として尋ねる。

たろちゃんは、ケラケラと笑いながら答えた。
岡山 太郎
いやぁ?そのまんまの意味だけど

そのまま、とは。
このまま突っかかっていてはキリがない。
私は、無理やり話を進めることにした。
あなた
……とにかく、たろちゃんは今までどこで何をしていたの!?
岡山 太郎
ああ、それな。俺、音信不通ってことになってるんだろ?
あなた
は……?"ことになってる"って、どういうこと……?
萩原研二
もしかして、まさか……?
諸伏景光
でも、だとしたら……
降谷零
いいんですか?こんなところで、その……


この場にいる、たろちゃん以外の全員が同じことを想定した。
岡山 太郎
あー、たぶん、みんなが想像しているようなことじゃないから安心して。
実はさ、理由は至って簡単で、なんなら、説明することすら恥ずいっていうか……
あなた
どういうこと?たろちゃんの羞恥心とかどうでもいいから早く説明して
岡山 太郎
相変わらず辛辣だな、ほんと。
まぁ、いいから聞け。
ことが起こったのは、警察学校の卒業式だった
岡山 太郎
あの日、俺は同期と一緒に全部の荷物を持って、これから住むマンションに行こうとしてたんだ










岡山 太郎
なあ、あとどんくらい?
んー、3時間
岡山 太郎
嘘つけ、そんなに遠いわけねぇだろ
30分
岡山 太郎
30分かぁ……


ふと、道端を見てみると、猫が立ってたんだ。

車も来てなかったから、通るなら今だろ、って思ってたのに、その猫、車が来た瞬間に飛び出しやがって。

前世当たり屋かよ!って思いながら、俺、荷物全部投げ捨てて猫のこと間一髪助けたは良かったんだが……
岡山 太郎
うわ……スマホバッキバキ……
大丈夫か?
岡山 太郎
猫も俺も無事だが、スマホと心はバキバキだ
それならセーフだな
岡山 太郎
新しく買い換えるかぁ……?
修理に出した方が早いんじゃね?
岡山 太郎
んー……ま、気が向いたらな〜









岡山 太郎
__っつーわけで、しばらくスマホ未所持で過ごしてたんだけど……職場の先輩に、買え!って怒られたから去年新しく買ったってわけ


たろちゃんの話を聞いていた私たちは絶句した。
あなた
なにそれ……だらしなさ過ぎる……私の、私の3年間はどこにいったの……?
岡山 太郎
え、もしかして俺のこと捜してた?
あなた
もしかしなくても捜してました!


語気を強めてたろちゃんを睨む。
降谷零
でも……スマホがなくても、会おうと思えば会えるのでは……?
諸伏景光
たしかに
岡山 太郎
中々時間が取れなくってなぁ。あ、そうだ。これ、新しいスマホの連絡先。いる?
あなた
は?
岡山 太郎
買い換える時、契約する会社ごとたぶん変わったみたいでさ、LINEなんてこうして直接会ってないと登録できないだろ?
電話番号も忘れてたしさ
たろちゃんは、そう言ってノートの切れ端らしきぐちゃぐちゃな紙を渡してきた。
あなた
……い、今更こんなのもらっても……う、嬉しくないし
岡山 太郎
いらねぇの?俺は欲しいけど。あなたの下の名前の連絡先
あなた
っ……バッっっかじゃないの!?!?


私は、ふんっとその紙を奪い取って、そっとポケットにしまう。
あなた
二度と連絡しないんだから!!
岡山 太郎
おー、そうか。了解
あなた
バーーーーカ
岡山 太郎
LINEは?


QRコードを見せられたので、登録する。
あなた
ブロックするから
岡山 太郎
はいはい

お気に入りにして、ピン留めした。


もう二度と連絡しない。


私は、心にそう誓った。

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