腕を掴み、私を引き止めた人物は、紛れもないたろちゃんだった。
萩原が、苦笑いを浮かべ、信号を指さす。
青信号がチカチカと点滅し始めたので、急いで渡る。
まるで話が噛み合わない。
私たちは、場所を移してとある喫茶店に入った。
適当に席に座り、改めて話を整理する。
各々が自己紹介を終え、次のステップに移る。
移る、はずだった。
私にもみんなにも失礼と取れる発言に、5人はどう対応しようか困っている。
幼なじみ代表として尋ねる。
たろちゃんは、ケラケラと笑いながら答えた。
そのまま、とは。
このまま突っかかっていてはキリがない。
私は、無理やり話を進めることにした。
この場にいる、たろちゃん以外の全員が同じことを想定した。
ふと、道端を見てみると、猫が立ってたんだ。
車も来てなかったから、通るなら今だろ、って思ってたのに、その猫、車が来た瞬間に飛び出しやがって。
前世当たり屋かよ!って思いながら、俺、荷物全部投げ捨てて猫のこと間一髪助けたは良かったんだが……
たろちゃんの話を聞いていた私たちは絶句した。
語気を強めてたろちゃんを睨む。
たろちゃんは、そう言ってノートの切れ端らしきぐちゃぐちゃな紙を渡してきた。
私は、ふんっとその紙を奪い取って、そっとポケットにしまう。
QRコードを見せられたので、登録する。
お気に入りにして、ピン留めした。
もう二度と連絡しない。
私は、心にそう誓った。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。