翔太side



ついに今日は待ちに待ったデートの日。

早く来ないかなー、なんて。
30分も早く来ちまったんだからまだ来るわけないのにな。

そう思いながら待っていると、

大好きな声で名前を呼ばれて振り向くと、
焦っているのか小走りでこっちへ来る涼太が見えた。

なんて強がったりして。

…可愛い。涼太がすごく可愛い。
久しぶりにちゃんと涼太を見て改めてそう思った。
今までちゃんと見てなかったわけでもないけど。

髪型、店で会った時と違うな。
前はかっちりした髪型だったけど、今はふわっとしてる。巻いてんのかな。

オフの時しか見れない髪型…。
俺は涼太の、他人では見れないような一面を見れた気がして嬉しくなった。

時計を見ると、まだ待ち合わせ時間の5分前。

の、はず……。

カップル多いに決まってるだろ。
こちとら人気のデートスポット選んできたんだぞ。

そういや、涼太って彼女いんのか…？

…いないで欲しい、けど、いそう。
優しいし、かっこいいし、可愛いし。

いたら俺の恋は終わる。そう考えただけで震え上がりそうになった。
涼太を好きになる前は失恋なんてどうってことないと思っていたけど、その時の俺をぶん殴ってやりたい。

聞くか？いや聞けない。聞きたくない。
でもいつか聞くことになる。俺と涼太が付き合うためには。

危ねぇ…。声に出てた。

今日は涼太とのデートなんだから楽しまないと…。

弾数はたくさんある方がいいだろ？

……ヤバい…、全然話が弾まない。

これじゃ涼太が退屈するだろ…。
何やってんだ俺。

どうにかしないとな…。

涼太の目線の先にはパインジュースが。

俺はすぐさま買いに行った。

いただきます言うんだ…。
可愛い。

ごくごくとジュースを飲む涼太は子供に見えた。
かっわ。

それは、つまり、か、か、かん

間接キス…。


は！？いや落ち着け……っ！
ここであたふたしたらダサい奴になっちまう。

ていうか友達同士でシェアするなんてザラにあるだろ！
いや「まだ」友達だけど！
何意識してんだよ…！

好きな人からの間接キスは落ち着ける奴いないって

あれから買い物とか、食いもん食ったりして、涼太とだいぶ距離が近づいた気がする。
涼太からも、ここ行きたいとかわがまま言ってくれるし。

これも一歩進展だな。
さて、次はどこに……、

……あの人達、俺のこと話してるよな？

あんまり騒ぐなよ…、
涼太との時間が少なくなる…。

てか、涼太はこの声聞こえてんのか…？
だとしたら嫌だな…、俺と涼太は高校の時の同級生。
芸能人と一般人ではない。

涼太は俺から一歩離れた。

聞こえてんな、これ。

あ“ー、めんどくさ…。
涼太との時間を奪うなよ。

しかも、涼太を少しでも不快な気持ちにさせた。

ぜってぇ許さねぇ。

俺らは足早にその場を立ち去った。

写真は撮られていないようで何より。
つかこれ盗撮だからな？
捕まるぞ？

…まぁ、警察に言うつもりはないけど。

なんて観覧車まで他愛のない会話をする。

クリスマスか…。
俺は……、仕事。

別に過ごす人もいないからなぁ。

よかったぁぁ……、！

渡辺翔太、無事失恋は免れました。

観覧車の上からはライトアップされた遊園地が一望出来て、二人でテンション上がってた。

俺は安心して膝から崩れ落ちそうになった。

俺は心の中で感情がぐちゃぐちゃになって、訳分からなくなって涼太に抱きついた。

何で抱きついたかなんて俺でも分かんねぇよ。

このまま出口まで行って、スタッフに驚かれたのはよく憶えてる。

これで俺の初デートは終わった。
今日一日中涼太を堪能できてめっちゃ満足。

次はどこ行こうかな…？

終わり