あなたの名字side
あの日から、半年が経った。
事務所の廊下は、今日も慌ただしい。
スタッフさんに挨拶しながら、私はスケジュール表を確認する。
忙しい。けど、嫌じゃない。
さっくんの声に、思わず笑う。
スタジオに入ると、SnowManが円になって話していた。
私はタブレットを見ながら頷く。
ふっかが、にっと笑う。
なべが、鏡の前で髪を直しながら、ぽつり。
それだけ。
でも、前よりずっと自然だった。
私は小さく笑う。
嘘じゃない。
前みたいに、怯えてはいない。
怖くなっても、戻ってきてこられる場所がある。
それを、私は知った。
休憩中、ふと空を見る。
ーーお父さん、お母さん。
私、ちゃんと生きてるよ。
胸の奥で、そっとつぶやいた。
そして、今日も私は、ここにいる。
渡辺side
俺は正直、あいつが嫌いだった。
また、信用出来なかった。信用しても、裏切られる。
それが当たり前になってたから。
でも、あいつは違った。
俺たちが嫌がってても、ちゃんと仕事をして、無理に関わって来なかった。
今考えたら、あいつも信用出来なかったんだろう。
あいつは信用出来るなって、根拠はないけどそう思えた。
昔色々あったあいつと、マネージャーと色々あった俺たち。
抱えてるものが一緒だった。それが今までのマネージャーとの大きな違いだった。
今日もあいつは事務所を走り回ってる。
あいつを見てるとたまに無理をしてるように見える時がある。けど、前よりも楽しんでるように見える。
そして俺たちも前より、仕事を楽しめている。
あいつと俺たちは、対立することがあっても、ずっと一緒にいれる気がする。
これもまた根拠がある訳ではない。
けど、なんだかそんな気がする。
今日も明日も、一緒に歩んでいく。それが俺たちだ。



















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。