…あんな事言っちゃったけど…、呪力消費だいぶヤバい…
耳飾り…ミクから貰ったやつ…いや、まぁ、遠回しには貰った…?のかな…。
形見…みたいな物だし、探さないと…、
いや、でも先に五条先生…かな。
確か…、地下から動かせないんだっけ…?
なら、直接ご対面しかないかな…、
そう思い、七海さんが向かった方向とは違う所から地下へ向かおうとして、
方向を変えた次の瞬間……、
ドックン……
心臓が握られたかのように胸が苦しくなる。
喉の奥から何かが込み上げてきて、胸が熱い…。
咳き込み、咄嗟に右手で口を覆うと
手に赤黒い液体がこべりつく…。
頭が殴られたように痛い…
呪いの発動…?
ダメだ………。
まだ……。
今は……、死ねない……。
守らなきゃ…、
助けなきゃ…、
呼吸をしたくても、喉にいる何かが空気を運ぶための肺への通り道を塞いでいて、酸素が体に回らない。
上手く思考が回らず、生理的な涙が出る。
その声が聞こえたと同時にふわっと何かに包み込まれる…。
耳元でそう呟く…。
私から離れる時に犬神がスルリと左頬を撫でる…。
その瞬間、喉の奥の熱が引いていくのがわかった…。
上がった息を整えながら、犬神を少し睨みつける。
会って早々…ムカつく…。
何それッ?!急に物騒!!!
1度死ぬ最期って…?
何?
私何回も死ぬの?
げっ……、あれは必死だったからノーカンにして欲しい…なんて言えない…。
こればっかしは仕方がない……。
対価…だから、
私の記憶と同等の物なんて思いつかないし…、
パチンッ…と犬神が指を鳴らし、目をつぶる…。
え?本当に記憶覗けてるの?
瞑想とかじゃなくて…?
今のちょっとした時間で?
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!