前の話
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俺は60歳の一般男性だ
今日仕事を定年退職した
仕事から一気に解放されて楽になったが
かえって職場の人に気を使ってしまい疲れてしまったのだ
…そういえば
今年でもう定年退職の60歳。
そろそろ…
いやいや速すぎるか、いくらなんでも
でも今もしも、もしも死んだらきっと後悔しか残らない
…
まあ、一応だ
いずれは書くだろう
それが速まるだけだ
明日書こう
俺はやる気があるうちにやったほうがいい
そう思って眠りについた
具体的に何を書こうか
思いつかないから明日、考えよう、、
突然、鋭い痛みがはしった
俺はわけがわからなかった
気がついた次の瞬間、俺はなにもない空感にいた
辺りを見渡しても、なにも、ない
あてもなく俺は歩き始めた
しばらく行くと、目の前になにか人の行列ができているようだ
俺はすぐそちらに向かった
何も考えず、ただ、なぜかそっちに行くべきだと思い、向かった
俺は行列の後ろに一緒に並んだ
しばらくかかりそうだが、なにゆえなにもない空間であるためこうするしかないのだ
俺は待つことは慣れていたが、ごくりと唾を飲んだ
やっと、俺の番が来た
目の前には人…?
羽が背中から生えている美人がいる
そしてその人の後ろには2つの門があった
1つは白くてなんともシンプルなもの
もう1つは黒くて赤い光みたいなものがが門からでている
美人は俺に話しかけた
思わず緊張してしまった
俺はどうしても現実を受け止められなかった
いや死んでるから現実じゃないかもだが…
そうだ、現実じゃないかもしれない
これは夢だ
そう思い頬をつねるも、普通に痛かった
俺はあんまりそんな救世主みたいなことはしていないのだがな…
だが天国なら天国でいいじゃないか、むしろ天国に行けるならそれはいいことじゃないか
俺はまだ動揺しながらも門をくぐったーーーー
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。