第67話

一瞬で変わる運命
299
2020/05/18 06:42
さとみくんとの対人戦を終えた私は、まだあのふわふわした感覚に囚われていた。

正直自分でもどうやって動いたか覚えていない。

みんながこちらにやってくる。
織恋寺ジェル(おれんじじぇる)
織恋寺ジェル(おれんじじぇる)
あなたちゃんの才能やな、あれは…
青柳心音(あおやなぎころん)
青柳心音(あおやなぎころん)
なんか凄すぎてよく分かんなかったや
みんなが口々に驚きの言葉を漏らす。

なーくんは少し考える素振りを見せ、私の目を見て口を開いた。
七森紫音(ななもりしおん)
七森紫音(ななもりしおん)
次、俺とやってもらってもいい??
私を見る目は真剣で、どこか恐怖を感じた。

なーくんから感じる良くない雰囲気。

みんなもそれを感じとったようで、珍しく怖いものを見た後のような目をしている。
芥川(なまえ)(心を開いた時)
芥川あなた(心を開いた時)
いいけど、なーくん強いからな〜
体術も出来、銃もナイフも使えるオールラウンダー。

そんな圧倒的差があるなーくんと私では勝てっこないけど、本当の暗殺だと思って。

これからの任務だって、私より強くて手強いターゲットも居るかもしれない。

ジェルくんの始めの合図で、私は相手の出方を待つ。

しかしそれはなーくんも同じのようで、数秒2人とも動かない。

ずっと相手の出方を待っていても仕方がない。

水鉄砲とナイフ両方を手に持ち、ナイフで攻撃するように見せかけて水鉄砲を撃つ。

勿論それはなーくんに読まれている。



──体力は最初よりもついてきた方だけど、それでも段々苦しくなってきた。

なーくんの持っていた水鉄砲が目の前に来て──
芥川(なまえ)(心を開いた時)
芥川あなた(心を開いた時)
(死にたくない…!!)
すとぷり
すとぷり
────え…??
何が起きたのか私でさえも分からなかった。

一瞬の出来事。

死にたくない、そう思っただけ。
七森紫音(ななもりしおん)
七森紫音(ななもりしおん)
──あ…あなたちゃんの勝ち、だね
なーくんの首元にはプラスチック製のナイフが当たっている。

水鉄砲は私にはかかっていない。
芥川(なまえ)(心を開いた時)
芥川あなた(心を開いた時)
わ、私…なーくんに、勝った、ってこと…??え、どうやって…
青柳心音(あおやなぎころん)
青柳心音(あおやなぎころん)
僕もよく見えなかった…莉犬くんは何があったか分かった?
赤石莉犬(あかいしりいぬ)
赤石莉犬(あかいしりいぬ)
う、ううん、俺もよく分かんな…ッ!!?
莉犬くんが振り返る。

暗殺者の目をして。

私たちも一斉にそちらを振り返った。
宅配のお兄さん
あなたちゃん、お久しぶりですね。俺のこと覚えてます??
そこに立っていたのは、宅配便のお兄さんを装った誰か。

みんなも一斉に本物の銃とナイフを構え、戦闘態勢に入る。
宅配のお兄さん
ちょ、俺何もしませんよ。今回は暗殺の依頼に来たんです
そう言って彼はポケットから白い封筒を取り出し、私に渡した。

近くに居たさとみくんが、私を庇うように私と彼の間に立ってくれる。

どさくさに紛れて手まで握られている。

こんな状況でもドキドキしちゃうんだもんなぁ。

でも安心するのも確かなんだ。

──本当に最近の私はおかしい。

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