第30話

九 一つの命で(2)
9
2024/11/01 11:43 更新
いのり
『ウル』。
 私——いのりが北欧神話の弓使いである神の名を言うと、光に近い弓矢が現れた。魔法一回につき、チャンスは一回だ。集中して、相手の上半身を狙う。
 残りはあと十分ほど。そろそろ仕留めなければならない時間だ。
 パンッと、矢を放つと、その屋はアイネの実に腕を貫通した。
いのり
当たった……!
 そしてまもなく、光の矢は消えた。
アイネ・レイリア
痛……。
 アイネは、さっきまで矢があった場所を押さえた。その周りに、赤褐色のものがついている。
いのり
(今なら。)
 あと一つだけ残っていた『ケクロプス』入りのボールを投げた。
 白蛇はアイネをめがけて猛スピードで突進する。
 しかしすぐに、白蛇は灰となって消えた。
いのり
(!)
 まさかと思ってアイネを見ると、やっぱりアイネはあのランチャーを構えていた。
アイネ・レイリア
いのりちゃん……。不意を突いたんだと思うけど……、甘すぎるよ……。
 アイネは大きくよろめいた。
オルタ・ドアルゴ
あと少しだよ!一つの技を大きくしているの?一回で二分以上時間が削れている。早く助けないと。
 オルタは唇をかむように口をつぐんだのか、オルタは何も言わなくなった。きっと、もうすぐ起きる可能性の高い現実を考えたくなかったのだろう。
アイネ・レイリア
フルコースもこれで最後……。特大の……、みんなに……、お腹いっぱい食べさせてあげる……!
アイナ・レイリア
アイネっ!
 アイナが大声で叫んだ。それには肩を揺らしたが、それよりも、アイネの言った言葉の意味を理解しようと考え続けた。
「みんな!逃げて!」
 誰かの声が聞こえると、アイネが何垢を投げているところが見えた。
 ——それは、黄色い光を放った大玉だった。
 止めなければいけない、と思う。けれど、恐ろしくて体が動かない。
教師
『異世界では、「何をテーマにして生きたい」?』
 何か月も前に言われた教師の言葉を思い出す。
いのり
(あのときに決めたテーマは『迷ったら進む』ということ。)
 そうだ。
 今逃げたら、そのテーマに反しているじゃないか。でも、どうやったらあの大玉を止められるのだろうか。というものが、また私を迷わせる。
アイネ・レイリア
『普通に「切ったり撃ったりすれば、すぐ消える」。』
 今度は、一時間、二時間ほど前に言われたアイネの言葉を思い出した。
いのり
(大玉に攻撃すれば……!)
 あの球は、爆弾で間違いない。でもこの爆弾も魔法なんだから、切ったりすれば使えなくなるはず。
いのり
(大玉を切らなきゃ!)
 命は『長さ』ではない。それまでの『生き方』が大切なんだ。
いのり
『フレイ』‼
 剣を持った髪を言うと、一本の剣が私の元に来た。
 大玉を切ろうと、近づいて剣を振る。
 しかし、大玉は切れるどころか地上に落ちていった。
いのり
(切れない……!)
 けれど、落ちるギリギリまで粘る。
いのり
(ダメだ……!)
 もう切れないと判断して逃げ始めた。
 逃げる途中で、ぐったりと横たわったアイネの姿が見える。
いのり
(……!)
 バーン!
 と、切ろうとしていた大玉が爆発して——————。
 ——————私はメイたちのところにいた。

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