スカイの弟であるレイとは、一緒にイタズラをする仲だった。
彼はとても人懐っこく、初めて会った時も、お互い寝落ちするまで遊んだ記憶があった。
「もーいいかい?」
俺が腹から声を出すと、遠くから「もーいいよ」と弾んだ声が返ってくる。
大抵は、その声の方向でどの辺にいるか分かってしまうのだ。
だが、あくまで相手は年下の男の子。
ここは年上として、手加減をするのが優しさというものだ。
「んー、レイどこだー?」
わざとらしく大きな声を上げて、レイから少し離れた場所をグルグルと回る。
チラッとレイの方を見ると、隠れてる木から顔を覗かせてクスクスと笑っている。
隠れる気がないだろう、それは。
流石にそれは見逃したくはなく、人差し指をレイの方へ向ける。
「みーっけ。」
「え!?なんでわかったのー!」
「顔丸出しだろ。」
丸い目を見開かせたレイが木の裏から叫びながら飛び出してくると、俺はツッコミを入れずにはいられなかった。
レイが見つかったので、鬼を交代して次は俺が隠れる番となる。
体が彼に比べて大きいから、どこに隠れても比較的見つかりやすいようにはなってしまう。
「んー…茂みでもいいか。」
しゃがむだけで済む茂みに隠れようと決めると、早速裏に回りこみ、体を縮こませる。
やがて、レイの「もういいかい!」という元気な声が聞こえてきた。
それに返答を返せば、元気な足音が遠ざかるのがわかった。
「…これ、見つかるのか…?」
一向にコチラに来る気配がなく、不安に感じた時だ。
「何。かくれんぼしてるの?」
茂みを覗き込み、コチラに声をかけてくる少女の顔が見えた。
「うわっ!?」
驚いて思わず大声を上げそうになると、咄嗟に彼女の手が俺の口を覆う。
よく見ると彼女の顔は透けており、奥にある青空が透けて見えた。
「ちょっと。そんなに驚くとは思わないじゃない。」
「……だ、だって、幽霊…」
「あなた、自分の魂分かっててそれ言ってる?」
ため息をついた彼女は、花の模様が浮かぶ紫の瞳を細くさせると、まるで呆れたような表情になる。
自分の魂。と小さく呟くと、俺は続けて声を出した。
「…んまぁ、幽霊の魂、だけど…」
「でしょうね。私が見えるの、その魂持つ人しかいないでしょうし。それに私は、それ分かっててあなたに近づいたんだから。」
幽霊の魂と言えど、こうして間近で幽霊を見るのは初めてだった。
「ってか、なんで俺のとこ来たんだよ。もっと他に人いただろ。」
「それは…」
俺が咄嗟に出てきた疑問を投げかければ、彼女はすぐに口を開く。
だが、それはレイの大声によって遮られてしまった。
「あ!みーっけ!」
「……ほら、行きな。話は後でするから。」
俺はその言葉に頷き、レイの元へ向かった。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!