第23話

ミスターストイックの忘れ物 *心操人使
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2024/08/06 14:50 更新
すっかり逞しくなった恋人の、立ち上がったすみれ色の髪を撫で付けた。
心操人使
あんたってほんと…それ好きだね
あなた
うん、ふわふわで気持ちいいから
あなた
あーあ、まだ入学した頃は体だってひょろひょろだったのになぁ…
心操人使
なに、ひょろひょろがよかったの?
あなた
んーん
あなた
どっちも好き

同じ普通科だった彼は今やヒーロー科への編入を果たして、普通科の星だなんて呼ばれてる。



ずっと私だけの一番星だったのに。




つい最近、他のクラスの子から告白されてるのだって見てしまったから気が気でない。


人使がかっこいいことなんて、私だけが気付いていればそれでよかったのに。




あの体育祭から、世界に人使が見つかってしまった、そんな被害妄想すら覚えてしまう。




付き合い始めよりもかなりがっしりと筋肉のついた肌を服の上から撫でてみれば、くすぐったそうに身を捩る彼と視線が交わった。
心操人使
なーに、さっきから
心操人使
変な気分になるからやめてくれない?

困ったように眉尻を下げて笑うから、
胸の奥がキュンっとした。
あなた
はあ…好き
心操人使
知ってる
心操人使
俺も好き
あなた
ミ°
心操人使
たまにあなたの下の名前って変な声出すよな…
心操人使
どっから出してんの?ねえ
あなた
ひ、はは、あひゃっ
お返し、とばかりに人使が私の脇腹をくすぐりにきて、

余計無様な悲鳴と笑い声を上げながら体を丸めた。



そのじゃれ合いはだんだん密着した触れ合いへと変わって、座ったソファの上で抱きしめ合う形になる。
心操人使
心操人使
はぁ…手ェ出さないって決めたの俺だけどさ
心操人使
しんどいね、わりと
あなた
Mr.ストイックが弱音吐いとる…
心操人使
誰がMr.ストイックだよ
人使の鼻先が私の首筋に触れて息がかかる。

卒業するまではこれ以上のことをしないって宣言されて、
早くも一年で折れそうになっている人使がかわいい。



そのうちため息とともに、ほんのり赤く染まった彼の顔が離れていく。
心操人使
ちょっと頭冷やしてくる…
あなた
あはは
あなた
…私は、いい、のにな…しても
心操人使
心操人使
へえ
人使が体重をかけて、ギッとソファのスプリングが軋んだ。


一気に接近した顔に心臓が跳ねる。


唇が重なって、何度も角度を変えて吸われて舐められて。


触れるだけじゃない官能的なキスに頬が火照った。



体全体がドキドキして、ふわふわして、温かくて。

唇から全部が溶け出していきそうな感覚。

少ししてから顔が離れる。
心操人使
これぐらいで真っ赤になるくせに…
あんま煽らないでくれる?
心操人使
じゃ、ちょっと飲み物買ってくるから
スタスタスタ、パタン。




素早く彼が部屋を出て行って、

残された私が鏡に映る。



確かに顔は真っ赤だった。

…けど、それに負けないくらいに人使の顔だって赤くて。
あなた
…財布、忘れてるし…バカ

テーブルの上に置き忘れられた彼の財布とケータイを見て、彼の慌てまくった内心を想像する。


財布を忘れたことに気付いて手ぶらで戻ってくる人使の気恥ずかしそうな顔を見るまで、あと数分。

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