ふわふわ、カチャカチャ。
私の横でティーセットたちがぷかぷかうかんでいる。
エースはギョッと目を見開いたあと、私に聞いた。
それでも、それでもね、エース。
私の目線より少し上にあるシャツの襟元に指をひっかけ、
エースの顔をぐいっと近付ける。
鼻と鼻がふれあいそうな程、瞳の奥まで見えそうな程。
「襟、ごめんね〜」
そう言いながらパッと手を離すが、エースは固まったままだった。
エースに合わせ、あなたの名前(カタカナ推奨)も立ち止まる。
そう言うとあなたの名前(カタカナ推奨)はまた歩き始める。
エースもそれに続く。
どういう風に“みえる”のか。
説明する筈の言葉は、喉の奥ですり潰された。
ちいさな子が静かに不満をうったえるように、
エースは下を向きながらそうちいさく言葉をつむいだ。
もう私達は、談話室の前に着いていた。













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!