第130話

125話 星屑の島
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2025/11/19 08:45 更新
太陽はそこそこの場所へと居座って。黎明時に染み込んでいた冷気をさんさんと暖気で上塗りしていく。
ウパパロン
…よし、錨降ろした。さっさと上陸するぞ
みぞれもん
のだーっ!到着なのだー!
スタダス島に辿り着いた船を、清々しい朝が歓迎した。
暑くもなく、寒くもなく——これまで幾度もなく経験したはずの爽やかさが、今だけは心底ありがたい。
めめんともり
…さて、さっさと修理済ましてこんな島とはオサラバしますよ
Latte
まだ寝たいだけじゃ…
そそくさと皆が船を降り、島へと移っていく。
普段なら中に置いていく留守番も、船が唐突に沈む可能性があるために今回は外に置くという話になっていた。
ウパパロン
あと…出来たら買い物もしたいな
みぞれ
あれ、でも食糧は十分あるって言ってませんでしたっけ…?
ウパパロン
目当ては食糧じゃない。…変装道具だ、めめさんの
めめんともり
…今私って言いました??
ウパパロン
当たり前だろ!?
みぞれ
……もしかして、手配書ですか?
ウパパロン
察しが早くて助かる。…手配書出されてるってのにノコノコと写真通りの姿でこれからも街を出歩ける訳ないだろ
ウパパロン
どうせすぐ修理が済む訳でもないだろうし、その間にでも買いに行くぞ
めめんともり
……仕方ないですねぇ
とっとと用を済ませるつもり満々だった船長は口を尖らせていたが、二度寝の幸福と手配書のリスクとを天秤にかければ、流石に後者の方に傾いたらしい。
Latte
じゃあ…修理屋に依頼をして、買い物をして帰るくらいならそこまで人数はいらないですかね?
めめんともり
ぐさおさん達は前回連れ回してしまいましたし、今回はお留守番をお願いしましょうか
ぐさお
了解ですっ!
ウパパロン
人員的にもう1人くらいは留守番してもいい気がするが
みぞれ
わ、私は前回足を引っ張ってしまったので…今回は着いて行きたいです
みぞれもん
同意なのだ!ぼくら今回こそ活躍するのだ!
Latte
それを言うなら私も後半何もしてない気がするので、行きます
ウパパロン
………じゃあ私か?
めめんともり
地味にこれまで皆勤ですからね、たまには留守番も任せましょうか
ウパパロン
まあいっか…みぞれがついてれば安心だしな
めめんともり
…深い意味は聞かないでおきましょう
最早恒例となった上陸前のプチ会議も早々に締め括られ、資金を元手に早速めめんともりにLatte、みぞれ(とみぞれもん)の4名はスタダス島の中へと足を踏み入れる。
すぐそばに見える集落——あそこなら修理屋の情報も得られると思い、まずはそこを目指す事にした。
 
島民
おぉあんた、修理屋に用の客か!やっぱあのウデは島の外まで噂されてんのかぁ
めめんともり
…そんなに有名なんですか?
島民
おうよ。どんな技術持ってんのか知らねえが、あの人に依頼すりゃあ粉々にでもなってねぇ限り何でも綺麗に直っちまうんだぜ!
島民
そーなの!このおもちゃ、こわれちゃったんだけどなおしてもらったの!
みぞれもん
こ…これ本当に、修理してもらったやつなのだ…?傷一つないのだ…!
Latte
…綺麗…新品さながらですね……
島民に聞き込みを行えば、想像以上に好感触だった。
実際に“修理屋”に直してもらったという小物を見せて貰えば、まるで作りたての頃に戻ったのではないかと思えるほどに端麗で、とても一度壊れていたものには見えない。

ここまでの腕の持ち主なら、確かに商人がそこで船の修理を勧めるのも納得だろう。
みぞれ
すごいですね……それで、肝心の修理屋さんはどちらに?
島民
あぁ、あの丘あるだろ?あそこの上に一軒だけ建ってる建物、あそこに基本住んでんだ
Latte
……本当だ、あんな場所に…
めめんともり
お時間頂き、ありがとうございます。…早速向かいましょう
みぞれ
ですね…!どんな人なのかな…
集落から少し離れた辺境の丘。
どこかこの場所とを隔てているような不思議な場所に、修理屋はひっそりと住んでいるらしい。

聞き込みで時間を取られる羽目にならずに済んだことに安堵し、4人は早速その方角へと向かう事にした。
 
 
めめんともり
…さて……ここが“修理屋”ですか
Latte
思ってたより大きい建物ですね……そういえば、修理屋って何人でやってるんですかね
みぞれ
あれだけ腕が立って、これだけ大きい建物に住んでますし…5、6人はいそうじゃないですか?
軽い丘登りを終えて、件の建物の前までやって来た。
いざ目の前にすると、その場所は想像よりも一回りほど大きく——随分と物々しい雰囲気を感じた。

恐らく熟練の腕を持つ職人が集まって回しているのかもしれない。一応、万が一修理屋が留守だった場合を危惧していたが…
めめんともり
1人でもいたら依頼は出来ますし、なら大丈夫でしょう
…そう思い、早速入り口のドアに手を掛ける。


そうして、甲高い音と共に開いた扉から——どこか浮世離れした光景が、目に入ってきた。
Latte
すみませーん、修理屋さんに依頼をしに来ましたー………って…これ人います…?
みぞれもん
奥にいるかもしれないのだ!探すのだ!
みぞれ
あっちょっと!勝手に走り回ったら多分よくない……
遠慮なくドタバタと音を立て入っていくみぞれもんと、止めるようにそれを追うみぞれに、扉から中を覗いて人の様子を伺うLatte…それに続いてめめんともりが中へ入っていくと、その中の様子はもっとよく見えた。
めめんともり
………
修理屋というのだから、もっと工具だらけの工房のような様相を想像していたが……例えるならば、その空間は『観測所』のように見えた。

そこかしこに散らばる紙に本、それを元はしまってたのだろう本棚。その上に工具箱が乗ってはいるものの、最早そっちがおまけのような扱いに見えてくる。
みぞれ
めめさん、これって人…いないんじゃ……
…そうしてふと、恐る恐るというようにみぞれがそう呟く。
見たところ人はいない——仮にいるなら今頃無遠慮に中に飛び込んだみぞれもんを叱責する声が聞こえてる可能性が非常に高いのだから。
全員もれなく留守というなら、帰りを待つしかないが……ここでのタイムロスは痛い。ここまで来るのにそこまで時間はかからなかったし留守番してる面々に一度このことを言いに帰るのもありだろうか——
 
 
???
……誰?
 
直後、入り口のそばにいた3人に影が落ちる。


——黒い外套に身を包んだ、顔も見えないだれかが、気付けばそこに立っていた。

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