病院の入院期間が終わり家に帰った俺は俺は実家から持ってきていた中学のアルバムを物置部屋から漁った。
きっと、「とある人」の情報もあるはずだ………。
そう思ってアルバムを開いた。
当たり前だが、みんな顔写真の下に名前が書いてある。
しかし、それに該当しない人が1人いた。
名前も顔も黒く塗りつぶされている。
そいつが写ってる写真全部にそいつの顔は黒く塗りつぶされていて、それが「とある人」であることがわかった。
まさか………記憶を失う前の俺がこんなことを………
そう思ったら自分が酷く最低なやつだと思った。
背後から急に声がして振り向くと神が立っていた。
だからといって勝手に家に入ってくるのは違うだろ
そう言って神にアルバムを見せた。
俺って最悪な奴だ………
神は何も言わずにアルバムを見ていた。
きっと俺に失望したのだろう。
こんな最低な奴だとは思ってもいなかったのかもしれない。
落ち込む俺に神は意外な言葉を掛けた。
そんなのあり?
記憶の有無で人って変わる?
案外いい奴なんだな、神って。
そう言えば………
アルバムを漁っていた時、古いノート見つけたんだよな。
俺は古いノートの表紙を見る。
【日記】
と書かれた表紙は何年もしまい込まれていたように古びていた。
俺がそっと表紙を捲ると当時高1だった年と日付の後にその日あったことが書かれていた。
2014年 8月19日
アマルにアイスを奢ってもらった。
今日もバニラだった。
そろそろバニラじゃなくてチョコも食べたい。
8月20日
アマルとスイカを買った。
俺ん家でスイカを切って食べた。
めっちゃ美味かったけど、腹いっぱい過ぎて、夕飯を食べられなかった。
8月21日
アマルが泣いて家に来た。
「どないしたん?」って聞いたら何も教えてくれんかった。
夕飯はアマルと食べた。
泊まっていくか聞いたけど、アマルは遠慮して家に帰った。
8月22日
アマルが行方不明になった。
家の近くの川で遊んだ帰り、「用事があるから!」って言って別れた。
夜、アマルのお母さんから電話があってアマルが帰ってこーへんって言ってた。
どうしよう、
アマルがおらへん生活はいやや………
8月23日
アマルを探した。
川で遊んだ帰りに用事があるってアマルが行った方向をめっちゃ探したけど、アマルは見つからんかった。
2016年 3月21日
卒業式やった。
結局、アマルはずっと見つからんかった。
アマルの家族も村を出ていった。
噂ではアマルは死んだって聞いたけど絶対嘘や。
だってアマルとずっと一緒や!って約束しとったもん。
あいつは約束を破らん人やし。
あいつは生きとる。絶対死んでへん。
「ぷーりっつ!」
またあの声が聞こえる。
あいつはもういないってわかってるのに
どこかであいつは生きている気がする。
俺の中で定かではない存在だった。
その言葉に素直に頷けないのは俺が弱いから。
失った記憶は薄っすらだが少しずつ蘇っている。
俺は物置部屋を出ていって自分の部屋に閉じこもった。
あっきい達から電話があったけど無視した。
俺の中でいろんな考えが蠢いていた。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。