第2話

1☔
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2024/01/10 09:25 更新
HOTEL PETRICHORに向かう途中の電車内で、
そのホテルに宿泊した客が某匿名掲示板に相談しているのを見つけた。その内容はほぼ依頼主と同じことを言っていた。
ただ一つ情報を加えるとするならば、ホテルのベルマンの顔をよく覚えていないと。
あなた
でも、あの依頼主の言ってる事が本当ってことは明確だな。
しかし、文を追っていくと、驚くべき事実が書かれていた。


116:名無し
『え、でもそのホテルってあれでしょ?宿泊客行方不明になってんじゃないの?』

117:名無し
『1、釣りかよw』
あなた
…行方不明…?!
危うく大きな声で言ってしまいそうだったが、電車内というのもあって、声を殺した。
行方不明ということはこのホテルの謎を伝えられる者はいない。この匿名掲示板の人も依頼主も嘘をついている可能性が…?

そう思ったがスクロールする手は止めない。表面だけの情報で決めつけてはいけないから。
118:名無し
『あぁ、なんかそうらしいね。でも、一番ビックリしてるのは自分だよ。』

119:名無し
『自分もその時、ここが怪奇現象?が起こってるホテルと思うと、もう出れないって思ったよ。』

120:名無し
『だけど、兎に角必死で出たさ。相変わらずベルマンの顔は覚えて無いけど。』

121:名無し
『どうやってチェックアウトしたとかは?そこら辺kwsk。』

122:名無し
『そこに関しては本当にごめん。覚えて無いんだ。ただ、自分が今までしてきたことがより鮮明だったかな。まぁ…人生の記憶?みたいな?』
あなた
チェックアウトした後は覚えて無い…
あなた
罪と記憶…
あの依頼主は記憶を思い出すと出れた。と言っていた。
しかし、実際。その記憶だけでなく、ホテル自体にトリックがあるとすれば?

この被害者達が言っている、思い出した記憶は間違いなく"自分自身"のものだ。思い出すことは容易だ。しかし、文脈からして、その記憶を取り戻すため、時間がかかるようだ。


となるとホテルが仕向けた攻撃とも捉えられる。
あなた
まぁ、行ってみないとわかんないかぁ…
一応、この匿名掲示板の主であろう人物のスペックを手帳に書く。
何か役に立つかもしれない。
あなた
いざとなったらこれで…
鞄の中に入れていたスタンガンが入っているのを確認する。護身用として、持ってきたのだ
その時電車が急停止した。
電車の天井から無機質な車内アナウンスが流れる。
『現在、天候が悪化し、酷い豪雨に見舞われており、電車が進めない状態です。お客様には大変申し訳ありませんが、電車が復旧するまで、しばらくお待ち下さい。』
窓を見るといつの間にか目的地の街の所まで来ていた。外は物凄い雨。これは遅延して当然だ。

目的地の街についたのだ、駅まではそう遠くない。
あなた
ゆっくり待とう。ホテルは逃げないし…っ…?
その時、吐き気をもよおすような目眩と頭痛がした。
あなた
うっ…?!
これまでに経験したことの無い痛みが全身に廻り、まるで爆薬をそのまま飲み込んだかのような何かが張り裂ける音が耳にこだました。
私は電車の床に倒れ込んだ。

このままだと自分がはち切れてしまいそうだ。
あなた
だ…れか…
そう問いかけるも電車内には誰もいなかった。そういえばこの車両は丁度さっき沢山の人が降りていったっけ。

考え事をして気づかなかったが、この車両に残っているのは私ただ一人だったことを知った。
次第に遠のく意識のなか、ふと人影が見えた。その人影は徐々に近づいて来る。助けが来たと確信し、その人影に向かって懸命に手を伸ばす。
しかし、そこで意識が途切れてしまった。

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