(最後に大事なお知らせあります)
ももside
焦るあたしの声に応えたのは、深冬だった。
そんなこと…許されるわけない…
なんとかして、助けないと!
気持ちばかりが逸って、
一歩踏み出そうとしたあたしを、
フォルレとフルール…2人の妖精だった。
2人はあたしの腕を力いっぱい掴み、
走り出そうとするあたしを止めていた。
フォルレの必死な、ともすれば泣き出しそうな叫び。
思わず、走り出そうとしていた足の力が抜ける。
嫌だ、嫌だよ…
あたしは誰の苦しそうな顔も見たくない…
お母さんを見殺しにするみたいな言い方。
あたしがそれを咎めなかったのは、
なんとなく分かったからだ。
フォルレだって、お母さんを助けたいんだって。
ほんとは、逃げたくないんだって…
それでも、せめても男の子を守るために。
フォルムはとても苦しそうな表情で、決断していた。
お花…そういえばどこに…?
何かあっても庇えるように男の子の側からは離れず、
視線だけを巡らせてあの赤い花を探す。
そして、赤いカーネーションは。
シツボーガの足元で、一枚の花弁も欠けることなく
咲き誇ったまま、転がっていた。
取れるかな…一瞬近寄るだけだったら出来る…?
あたしが一歩、走り出そうとした瞬間だった。
冷酷な声が響き渡り、シツボーガが一歩踏み出す。
その、足元には____!
赤いカーネーションの花弁が、宙を舞った。
それが、信じられない…いや、信じたくなくて、
あたしの目にはスローモーションで見える。
でも、現実は非情で。
赤いカーネーションは、踏まれて潰されていた。
じわりじわりと、男の子の瞳に涙が溜まっていく。
それが見えているのに、深冬は顔色1つ変えない。
それどころか、更に追い打ちをかける。
冷酷に、無慈悲に。
その言葉をあたしが認識したと同時に、
男の子の頬を、涙が伝った。
その瞬間、
あたしの中で、何かが切れたような気がした。
何かが、身体の内からこみ上げてくる。
それは悲しみにも似ている、それでも確かな"怒り"。
頭が真っ白になって、ところどころ声がかすれた。
でも、その中でも、確かにあたしの中にあるものがあった。
恐怖も怒りも全て押しのけて、叫ぶ想いがあった。
ずっとずっとあたしが大切にしてきた想い。
ただそれだけを想って、あたしは思い切り叫んだ。
「これ以上、みんなの笑顔は奪わせないっ!!」
その時、
力強い光が、あたしを照らした。
突如現れた、力強くて温かい、優しい光。
その光は、フルールから出ていた。
にっこり笑って、頷くフルール。
そう、絶対に大丈夫。
そう分かる。
フルールが光に負けないくらい、力強く言い切る。
すると、光はフルールを離れてあたしの元へやって来た。
そしてその光は、
綺麗なペンになって、あたしの手に収まった。
お花もお母さんも男の子も…絶対、守るから!
これの最新話見て下さい。
今後の投稿に関することが書いてあります。
…あっちの方で色々言うので言う事ないですね。
それでは!
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。