第42話

🩷のお兄ちゃんだから我慢リクエスト
297
2026/06/06 00:25 更新
朝の7時。

キッチンでは如恵留が朝ごはんを作っていた。
如恵留
はいはい、みんな起きる時間だよ〜!
元太
ままぁ〜!!
元太が一番に起きてきて、そのまま如恵留の足に抱きつく。
如恵留
おはよう元太
元太
だっこ!
如恵留
はいはい
如恵留が元太を抱き上げる。

するとかいちゃんも眠そうな顔でやってきた。
海斗
まま…おはよ…
如恵留
かいちゃんもおはよう
海斗
ぎゅー…
今度は反対側の足に抱きつく。
その様子を少し離れた場所から龍也が見ていた。
龍也
……
龍也も本当は甘えたい。
でも長男だから。
小学校1年生だから。
そんなことを考えているうちに言えなくなってしまう。
海斗
おはよ〜……
海人
ママぁぁぁぁ!!
海斗の後ろからうみが走ってきた。
海人
おなかすいた!
如恵留
走らない!
海人
ごめんなさーい!
閑也
うみは朝から元気だなぁ
海人
パパぁぁ!
今度は閑也に飛びつく。
閑也
おっと
海斗
うみずるい!
海人
へへーん!
海斗
ぼくも!
閑也
はいはい
今度は海斗も抱っこ。

リビングは朝から大騒ぎだった。
如恵留はふと龍也を見る。
如恵留
龍也、おはよう
龍也
おはようママ
如恵留
よく眠れた?
龍也
うん!
ニコッと笑う龍也。

でもその笑顔の奥に少しだけ寂しさがあった。

如恵留は気付いていたけれど、何も言わなかった。
休日の昼。

みんなで公園へ来ていた。
海人
パパみてー!
閑也
おー!速い速い!
うみは全力で走り回る。
海斗
ぼくもー!
海人
まてー!
二人で追いかけっこ。
元太
まま!すべりだい!
如恵留
一緒に行こうか
元太
やったー!
海斗
ぼくも!
如恵留
じゃあみんなで行こう
元太とかいちゃんは両手を繋いでもらって大喜び。

龍也は少し離れたベンチに座っていた。

本当は一緒に行きたい。

でも、
龍也
ぼく、もう1年生だし…
そう思う。

しばらくして如恵留が近づいてきた。
如恵留
龍也
龍也
ん?
如恵留
ママたちと一緒に行く?
龍也
え?
如恵留
元太たちと滑り台行くけど、龍也も来る?
龍也の胸が少しだけ高鳴る。

行きたい。

すごく行きたい。

でも。
龍也
ううん、大丈夫
如恵留
そっか
龍也
ぼくここで待ってる
如恵留
わかった
如恵留は優しく笑った。

そのまま弟たちの場所へ戻って行く。
元太
ままぁ〜!
海斗
ままこっち!
海人
ママー!
海斗
見て見て!
みんなが如恵留を呼ぶ。
龍也はその光景を見つめていた。
龍也
大丈夫だもん
そう自分に言い聞かせた。
夕方
家に帰ると宿題の時間。

龍也は算数のプリントとにらめっこしていた。
龍也
うーん……
如恵留
どこが分からない?
龍也
あ、ここ
如恵留
これはね
隣に座って教えてくれる。


龍也は嬉しかった。

でも。
海人
ママー!
如恵留
どうしたの?
海人
ゲームできない!
海斗
ぼくも見てほしい!
元太
ままぁ〜!
海斗
ママぁ……
一気に全員集合。
如恵留
順番順番
閑也
みんな落ち着けー!
海人
やだー!
元太
だっこー!
海斗
ぼくもー!
龍也は少しだけ手を止めた。
本当はもう少し一緒に勉強したかった。

でも。
龍也
ママ、もう大丈夫
如恵留
本当?
龍也
うん!
如恵留
わかった
如恵留は弟たちの方へ向かった。

龍也は一人で問題を解く。

少し寂しかった。

だけど笑顔でいた。
夜ご飯も終わり、お風呂も終わった。
寝る時間。
元太
ままとねる!
海斗
ぼくも!
海人
おれも!
海斗
ぼくも!
閑也
おいおい
如恵留
ベッド入るよー
弟たちはみんな如恵留の周りへ集まる。


龍也は少し後ろから見ていた。
閑也
龍也どうする?
龍也
ぼく一人で寝れる!
閑也
さすが長男
龍也
えへへ
褒められた。

嬉しい。

だけど少しだけ胸が苦しくなる。

如恵留が声をかける。
如恵留
龍也もこっち来る?
龍也
え?
如恵留
みんなで寝る?
龍也は一瞬迷う。

本当は行きたい。

ママの隣で寝たい。

でも。
龍也
ううん、大丈夫
如恵留
そっか
龍也
ぼくもう1年生だもん
如恵留
そうだね
優しく笑う如恵留。
優しく笑う如恵留。

龍也も笑い返した。

だけど、
みんなが如恵留にくっついているのを見ながら、自分の布団へ入る。

龍也
ぼく、お兄ちゃんだし
そう思いながら目を閉じた。

誰にも言わない。

まだ言えない。

甘えたいなんて。

そんな気持ちは胸の奥にしまったまま。
一旦きります。

プリ小説オーディオドラマ