朝の7時。
キッチンでは如恵留が朝ごはんを作っていた。
元太が一番に起きてきて、そのまま如恵留の足に抱きつく。
如恵留が元太を抱き上げる。
するとかいちゃんも眠そうな顔でやってきた。
今度は反対側の足に抱きつく。
その様子を少し離れた場所から龍也が見ていた。
龍也も本当は甘えたい。
でも長男だから。
小学校1年生だから。
そんなことを考えているうちに言えなくなってしまう。
海斗の後ろからうみが走ってきた。
今度は閑也に飛びつく。
今度は海斗も抱っこ。
リビングは朝から大騒ぎだった。
如恵留はふと龍也を見る。
ニコッと笑う龍也。
でもその笑顔の奥に少しだけ寂しさがあった。
如恵留は気付いていたけれど、何も言わなかった。
昼
休日の昼。
みんなで公園へ来ていた。
うみは全力で走り回る。
二人で追いかけっこ。
元太とかいちゃんは両手を繋いでもらって大喜び。
龍也は少し離れたベンチに座っていた。
本当は一緒に行きたい。
でも、
そう思う。
しばらくして如恵留が近づいてきた。
龍也の胸が少しだけ高鳴る。
行きたい。
すごく行きたい。
でも。
如恵留は優しく笑った。
そのまま弟たちの場所へ戻って行く。
みんなが如恵留を呼ぶ。
龍也はその光景を見つめていた。
そう自分に言い聞かせた。
夕方
家に帰ると宿題の時間。
龍也は算数のプリントとにらめっこしていた。
隣に座って教えてくれる。
龍也は嬉しかった。
でも。
一気に全員集合。
龍也は少しだけ手を止めた。
本当はもう少し一緒に勉強したかった。
でも。
如恵留は弟たちの方へ向かった。
龍也は一人で問題を解く。
少し寂しかった。
だけど笑顔でいた。
夜
夜ご飯も終わり、お風呂も終わった。
寝る時間。
弟たちはみんな如恵留の周りへ集まる。
龍也は少し後ろから見ていた。
褒められた。
嬉しい。
だけど少しだけ胸が苦しくなる。
如恵留が声をかける。
龍也は一瞬迷う。
本当は行きたい。
ママの隣で寝たい。
でも。
優しく笑う如恵留。
優しく笑う如恵留。
龍也も笑い返した。
だけど、
みんなが如恵留にくっついているのを見ながら、自分の布団へ入る。
そう思いながら目を閉じた。
誰にも言わない。
まだ言えない。
甘えたいなんて。
そんな気持ちは胸の奥にしまったまま。
一旦きります。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。