第64話

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2026/02/15 03:50 更新



個室が静まり返る




ハン ミンジュ
ハン ミンジュ
もし何かあった時
私一人じゃどうにもできない


そして、ミンジュさんは横にいるスングァンへと視線を移した。


ハン ミンジュ
ハン ミンジュ
元々スングァンからジョンハンさんのことを色々聞いていました。
ハン ミンジュ
ハン ミンジュ
夢に知らない女性が出てきた数日後
雨宿りのために入ったお店で
その人と巡り会えたって話



あなたの顔が頭に浮かぶ


ハン ミンジュ
ハン ミンジュ
その人がまさか、あなたちゃんだなんて
ジョンハン
ジョンハン
…だから俺に言ったんですね



あの時気づいてた。
あなたとミンギュの間に流れる、わずかな違和感に。


だけど、一度引き下がった。





胸の奥が締めつけられる。
椅子に座っているのが、もどかしい。




気付けば俺は立ち上がっていた





スングァン
スングァン
ヒョン…






スングァンの声を背に
財布から札を抜き、テーブルに置く。



何を言うかなんて考えてない。
だけど、今すぐあなたに会わなくちゃいけない。





俺は振り返ることなく、店をあとにした。







ジョンハン
ジョンハン
 あなた…







パンのことを嬉しそうに語る姿も。
好きなことに一生懸命なその小さな背中も。
俺を何度も救ってくれた、あのくしゃっとした笑顔も。






全部、俺が守る。







━━━━━━━━━━━━━━







~seungkwan side~






勢いよくヒョンは店を飛び出して行った。






でもまさか、ヒョンが想いを寄せるあなたさんの彼氏がDV気質だなんて…

しかも、その男がヌナの元カレで。
ヌナにも、あんな過去があったなんて。



正直、頭が追いつかない。



だけど、なんで最初から僕に言ってくれなかったんだろう


何か事情があったとしても
やっぱり寂しくて、悲しくて


きっとヌナからすれば、僕は頼りない彼氏なんだろうな





外の喧騒とは裏腹に、やけに静かな個室




そんな中、下を向く僕の手を
ヌナの手がそっと包み込んだ。




ハン ミンジュ
ハン ミンジュ
話すのが遅くなって、ごめんね




嗚呼、こんな時こそ
「全然いいよ」って
さらっと言えたらいいのに。

なのに僕は、子供みたいに口を尖らせて
首を横に振ってしまう。




ハン ミンジュ
ハン ミンジュ
言い訳みたいになっちゃうけど、スングァナに話さなかったんじゃなくて、話せなかったの…
スングァン
スングァン
…どういうこと?
ハン ミンジュ
ハン ミンジュ
付き合った当初、スングァンが私に元彼の話を聞いてきたの覚えてる?


そんなことあったかな…


ハン ミンジュ
ハン ミンジュ
その時、私が話そうとしたら「やっぱ聞きたくない!」って言ったの。だからスングァンが聞いて辛くなる話なら、私もしたくなくて
スングァン
スングァン
えっ、それが…理由…?
ハン ミンジュ
ハン ミンジュ
ごめんね、こんな形で話しちゃって



すると、ヌナの目が少しだけ揺れた



スングァン
スングァン
ヌナは悪くないよ!
僕の方こそごめん
頼りない彼氏で、ごめんね



ヌナが苦しくて悩んでた時も
僕のこと気遣ってくれてたんだ



なのに、僕最低だな



その瞬間、
ふわっといつものヌナの香りに包まれた



ハン ミンジュ
ハン ミンジュ
謝らないで、スングァナ


ヌナの背中に腕を回した


スングァン
スングァン
頑張って頼りになる男になる
だから、これからはいっぱい頼ってほしい
ハン ミンジュ
ハン ミンジュ
…うん、わかった


腕が離れると、優しく微笑むヌナと目が合った


ハン ミンジュ
ハン ミンジュ
でも、もう聞きたくない〜とか言わないでね?
スングァン
スングァン
もちろんだよ!
別れ話以外ならなんでも聞くよ



ふふっとヌナが笑う
その笑顔につられて僕も口元が緩んだ



ハン ミンジュ
ハン ミンジュ
愛してるよ、スングァナ
スングァン
スングァン
うん、僕も愛してる

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