第63話

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2026/02/13 05:12 更新


あの日から2日が経った。

俺はスングァンとミンジュさんと
会社近くの個室居酒屋にきていた。




ジョンハン
ジョンハン
今日は来てくれてありがとう
スングァン
スングァン
全然僕はいいですけど…
ヌナまで呼んで、一体何があったんですか?
ジョンハン
ジョンハン
うん、聞きたいことがあって



そう言って、ミンジュさんを見る。


ジョンハン
ジョンハン
この前言ってたこと…
詳しく教えて頂けますか?


ミンジュさんは、小さく頷いた。


ハン ミンジュ
ハン ミンジュ
……わかりました


それを聞いたスングァンは眉を顰める。


スングァン
スングァン
え、なに?二人だけで内緒の話?
ハン ミンジュ
ハン ミンジュ
違うの、スングァナ
ちゃんと説明するから
 


不安そうな表情を浮かべながらも
スングァンは口を閉じた。


ミンジュさんはその様子を見て
静かにこちらへ向き直る。



逃げも迷いもない
まっすぐな視線を向けてこう言った。



ハン ミンジュ
ハン ミンジュ
あなたちゃんの彼氏
……危ない人なんです
スングァン
スングァン
…えっ?
ジョンハン
ジョンハン



あの時、出会った男。
あなたに冷たく感情のない視線を向けていたあいつ。



ハン ミンジュ
ハン ミンジュ
人の愛し方を……あの人は知らない


その言葉に息が詰まる


ハン ミンジュ
ハン ミンジュ
私の元彼だったから、わかるんです
スングァン
スングァン
…っ
ジョンハン
ジョンハン
……ミンギュ?


名前を出すと、ミンジュさんは頷いた。
そして淡々と、過去を語り始めた。


ハン ミンジュ
ハン ミンジュ
付き合ってたのは、5年ほど前です






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最初は、少し心配性なだけだと思っていた。

けれど仕事が忙しくなり、会う頻度が減るにつれて
束縛は目に見えて強くなった。

言葉は鋭く、態度は荒くなり、
やがて、触れ方まで変わった。



ハン ミンジュ
ハン ミンジュ
『俺を嫉妬させるからだ』って言うんです


ミンジュさんの顔が少し引き攣った


ハン ミンジュ
ハン ミンジュ
まるで、自分は悪くない
とでも言うみたいに



すぐに限界がきて別れを決めた。
でも、話し合いで終われる相手じゃない。



ハン ミンジュ
ハン ミンジュ
だから……直接は言えませんでした





“別れよう”





その一言をカカオトークで送って、姿を消した。

幸い共通の知り合いはいなかったし、職場にも事情を話して支店を変えてもらい、隣町に引っ越した。




ハン ミンジュ
ハン ミンジュ
今は、完全に縁は切れています
ハン ミンジュ
ハン ミンジュ
でも半年前、もう大丈夫だと思って
こっちに戻ってきました



ゆっくりと視線が落ちる。



ハン ミンジュ
ハン ミンジュ
その時、偶然見たんです。
女の子の腕を強く引くミンギュの姿を


そしてゆっくり顔を上げた。


ハン ミンジュ
ハン ミンジュ
……その子が、あなたちゃん


息を飲んだ



あの時に初めて見た怯えた表情。
そして、首元の隠しきれない痣。



疑念が、確信に変わる。



ジョンハン
ジョンハン
あなたが、酷い目にあってる……?
ハン ミンジュ
ハン ミンジュ
……その可能性は高いです
ジョンハン
ジョンハン
それで、パン屋に?
ハン ミンジュ
ハン ミンジュ
はい。本当は、もう関わりたくなかった。
でも……


声が、ほんの少しだけ揺れる。


ハン ミンジュ
ハン ミンジュ
あなたちゃんの手を引くミンギュの表情が、怖かった。
あの時とはまた違う感じの怖さです…


そして小さく息を吐いた


ハン ミンジュ
ハン ミンジュ
あなたちゃんと仲良くなるうちに、恋愛の話もするようになったんですが、なかなか元彼だなんて言えなくて
ハン ミンジュ
ハン ミンジュ
それに……彼のことを“好き”だと言うあなたちゃんを見たら、余計に言えなくて





握り潰されたような痛みが
胸を締め付ける




偶然が重なって
運命だと、勝手に思い込んで
少しだけ、期待していた



歪んだ愛だとしても
それでも「好き」だと、言ってしまう彼女




ハン ミンジュ
ハン ミンジュ
私は酷くなる前に離れられました


険しい表情へと変わる


ハン ミンジュ
ハン ミンジュ
でもあなたちゃんは優しい…
優しすぎる
ジョンハン
ジョンハン
……自分を犠牲にする


小さく頷き
その声が、わずかに低くなる


ハン ミンジュ
ハン ミンジュ
力で解らせようとする人間相手には
それが1番危ない



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