第129話

助け
2,162
2020/06/13 03:07
山田side
山田涼介
あなた……
反応はない。

そりゃそうだ。たった今、身内がなくなったんだ。


俺の相手なんて出来てたまるか。






ジャニーさんが入院してから、何度も危ない時を乗り越えてきた。

ジャニーさんは十分頑張ってくれた。俺達に、諦めないことの大切さを教えてくれた。

ジャニーさんには教えられてばかりだ。


俺はジャニーさんに何かしてあげられただろうか。

いつも助けられてばかりで、これと言って何も出来てない気がする。

そして今も、ジャニーさんの孫であるあなたに、俺は何もしてあげられてない。
薮宏太
山田。
山田涼介
…なに?
薮宏太
今は、あなたを一人にさせてあげよう。
山田涼介
……そうだね。
何もできない俺は、ここから出ることがあなたのために出来る、唯一のことだった。

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病室から出て、みんなが黙る。言葉選びが難しい。

でも、こういう時はだいたい、気が利く人はちゃんと言葉を選びながら、声をかけてくれる。
薮宏太
みんな、大丈夫……?
慎重に選んでくれた言葉に、みんなが反応する。
八乙女光
俺は大丈夫だよ。
中島裕翔
俺も、ちょっとマシになってきた。
山田涼介
俺も……なんとか。
こういう時、俺は弱い。

「JUMPのエース」は動けない。
有岡大貴
あなた、大丈夫かな…
伊野尾慧
いつも通りに戻るのは……なかなか難しいと思うよ。
知念侑李
……そうだね。
髙木雄也
でも、無理に戻す必要はないけどね。
薮宏太
雄也の言うとおり無理に戻す必要はない。ただ、あなたの心が不安定なままで仕事するっていうのは良くないね。
中島裕翔
だね。
そう、問題は仕事の面。

ただでさえあなたは仕事が多くて、精神的にきついのに、今の状況は更にきつさを増してしまう。


より、あなたの心を軽くすることが重要になる。



なんて言うけど、俺はうまく出来ない気がする。

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