第34話

さんじゅうよん『美しさ』
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2025/12/06 13:10 更新


林間合宿も終わり、土日を挟んで学校が始まった。









加賀美ハヤト
はーい皆さん席についてください。本日より副担任になる先生を紹介します




先生が紹介し終わって、教室に一人の人物が入ってくる。





その姿を見て、思わず息を呑んだ
































―あの日、森で出会ったオニーサンやった。









小柳ロウ
小柳ロウです。担当科目は化学です。   …よろしくね







前はきめ細やかな肌は青白く、



どこか痛々しい感じだったけど


血色のある肌に変わり、声も芯が通っていて










前よりずっとええと思った。








教室の空気は、朝の光に溶けていた。



窓辺から射し込む橙色の陽が、机の木目を淡く照らし、



黒板には、消し残りのチョークの粉がかすかに漂っている。







あの日、森の中で出会ったオニーサンが白衣を着て、黒板の前に立っている




たったそれだけやのに、なんでか胸が落ち着かない。












オニーサンはうちと目が合うや否や、こちらに近付いてきた。







小柳ロウ
…君





顔をゆっくりと上げると、窓からの光を背にした彼が立っている。



逆光のせいか、輪郭の一部が淡く揺らいで見える。



まるで、


まだ森の影の中に半分だけいるみたいに






小柳ロウ
ずっと、お礼が言いたかったんだ。あの日、僕はあそこで死のうとしてた。



彼は少しだけ視線を落とす。


靴の先で床を少し押すような



頼りない仕草。





小柳ロウ
君に助けられて、一人の人という存在がどれだけ尊いものかわかった。誰かに必要とされることが、
 こんなに温かいものだって……
 忘れてたみたいで







その声は、



無理に笑うでもなく、



悲しみに沈むでもなく、



ただ静かに本当だけを並べていく息を呑んだ。



彼の言葉は淡々としているのに、



胸の奥をそっと撫でられるように痛い。









小柳ロウ
だから、ありがとう。君のお陰で森を出られた。







『 森を出られた 』


その言葉は現実の出来事以上の意味を含んでいた。



彼が立ち止まっていた場所から無理やり引き戻したわけではなく、


ただそばに立っていたことに対する感謝。


その静けさが帰って涙を呼ぶような優しさだった。








あなた
…うちは何もしてへんよ。ただ、友達とはぐれてただけ。



小柳ロウ
それで十分だった。



彼の声が少し強くなる。



けれどすぐにふっと表情を緩めた。


小柳ロウ
君の声は不思議だね。どこか…帰れる場所みたいに、優しく響くんだ。




あの日、森の中で出会って、知らない間に消えていたオニーサン。







小柳ロウ
君がまた迷ったら、僕に言ってよ。…今度は君の前から消えたりしないから。




朝の廊下に言葉が落ち、



白衣の袖が風に揺れた。






























そんな彼の姿がどうしようもなく美しく見えた





そろそろネタ切れすみません🥲‎🥲‎🥲‎
コメントくださるとモチベアップします💬😭

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