林間合宿も終わり、土日を挟んで学校が始まった。
先生が紹介し終わって、教室に一人の人物が入ってくる。
その姿を見て、思わず息を呑んだ
―あの日、森で出会ったオニーサンやった。
前はきめ細やかな肌は青白く、
どこか痛々しい感じだったけど
血色のある肌に変わり、声も芯が通っていて
前よりずっとええと思った。
教室の空気は、朝の光に溶けていた。
窓辺から射し込む橙色の陽が、机の木目を淡く照らし、
黒板には、消し残りのチョークの粉がかすかに漂っている。
あの日、森の中で出会ったオニーサンが白衣を着て、黒板の前に立っている
たったそれだけやのに、なんでか胸が落ち着かない。
オニーサンはうちと目が合うや否や、こちらに近付いてきた。
顔をゆっくりと上げると、窓からの光を背にした彼が立っている。
逆光のせいか、輪郭の一部が淡く揺らいで見える。
まるで、
まだ森の影の中に半分だけいるみたいに
彼は少しだけ視線を落とす。
靴の先で床を少し押すような
頼りない仕草。
その声は、
無理に笑うでもなく、
悲しみに沈むでもなく、
ただ静かに本当だけを並べていく息を呑んだ。
彼の言葉は淡々としているのに、
胸の奥をそっと撫でられるように痛い。
『 森を出られた 』
その言葉は現実の出来事以上の意味を含んでいた。
彼が立ち止まっていた場所から無理やり引き戻したわけではなく、
ただそばに立っていたことに対する感謝。
その静けさが帰って涙を呼ぶような優しさだった。
彼の声が少し強くなる。
けれどすぐにふっと表情を緩めた。
あの日、森の中で出会って、知らない間に消えていたオニーサン。
朝の廊下に言葉が落ち、
白衣の袖が風に揺れた。
そんな彼の姿がどうしようもなく美しく見えた
そろそろネタ切れすみません🥲🥲🥲
コメントくださるとモチベアップします💬😭













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!