第9話

10月4日
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2026/08/31 04:42 更新

10月4日




伊冴side








そして、当日。


伊冴の部屋に集まる。




早朝から、みんなが伊冴のことを気にしていた。



トイレに行くにも、


「一人で行かないでね」


と言われる。





飲み物を取りに行けば、


「俺が取ってくるよ」


と誰かが立ち上がる。







伊「……そこまでしなくても、」


そう言うと、


「今日だけはいいの!」


と怒られた。





みんな、何度も時計を気にしていた。
 


何も起きませんように、と。




朝が過ぎて、

昼になって、

夜になって。




みんなでご飯を食べて、

くだらない話をして、

テレビを見て。




気がつけば、もう夜だった。



伊「……今日、何も起きなかったね」




誰かが笑う。




大「だから言ったじゃん!みんなでいれば大丈夫なんだって」



シヨ「未来、変わったんじゃない?」




伊「……そうかもね」



伊冴も笑った。







そして、23時30分を過ぎた頃。



みんなで、今日一日を振り返るように話をしていた。




永「10月4日、無事終了ー!」



結「よかったぁ」



結蘭「明日から普通に戻れるね」




竜「伊冴くん、もう大丈夫じゃん!!」





そんな言葉が飛び交う。



伊冴は、みんなの顔を見た。





笑っている。




みんな、安心したように笑っている。



 

それが嬉しくて。





来年も、こうやってみんなと笑い合いたいと強く思った。







伊「……あのさ、」 




「ん?」






伊「来年も、こうやってみんなでいられたらいいな」





一瞬だけ、静かになる。




そして、





「当たり前じゃん」



と、みんなが返す。







佳「来年も、再来年もいるよ」



慶「何言ってんの」




シン「ずっと一緒」





伊「……そっか」





伊冴は笑った。



けれど。




その目には、ほんの少しだけ涙が浮かんでいた。



慌てて俯く。



亮「泣いてる?」






伊「泣いてないよ、みんなも朝早くからここ来て寝てないでしょ!眠いだけ」




笑いながら、目元を拭う。





 

そして。



日付が変わった。




10月5日。





「やったー!!」




「よかったーー!」





みんなが声をあげる。







みんなは、ようやく安心したように眠る準備を始めた。





「じゃあ、今日はもう寝よう」




「伊冴くんもちゃんと寝てね」




「おやすみ」







伊「うん。おやすみ」
 




一人ずつ、部屋を出ていく。




その後ろ姿をじっと見る。












最後に残ったのは、康祐だった。


康「……伊冴くん」



伊「ん?」


康「今日、一緒にいれてよかった」



伊「こっちこそ」



康「……これからも一緒にいようね」




伊「……うん」



康祐が笑う。






伊冴も笑う。









康「じゃ、おやすみ」




伊「おやすみ、康祐」







扉が閉まる。







扉のドアノブを指でそっとなぞる。








時計を見ると、時刻は0:47だった。











______10月4日が、終わった。

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