第10話

第八話
116
2026/07/12 22:54 更新
(なまえ)
あなた
痛い…です
その言葉が落ちた瞬間

談話室がしんと静かになった。
私自身も、
少し驚いていた。

言っちゃった。

今までずっと。

“大丈夫”

しか言えなかったのに。

弱音を吐いたら、
心配かけるから。

困らせるから。

怖がられるから。

だからずっと、
飲み込んできた。

でも。
pr
…そっか。
ぷりっつは、
ただ静かに頷いた。

慰めない。

無理に励まさない。

でも、
ちゃんと受け止めてくれる声だった。

その瞬間。

胸の奥に張っていたものが、
少しだけ緩む。



淡い、星屑が舞った。

けれど今度は、
ひびは増えなかった。

私は目を見開く。



今までこんなことなかった。
こういう時は毎回必ず一箇所は増えてたはずなのに…
(なまえ)
あなた
あれ…?
tg
落ち着いてる…
透けた指先を見る。

確かに。

さっきまでみたいな軋む痛みが、
少し和らいでいた。
ak
えすごくね?
あっきぃが身を乗り出す
ak
ちゃんと気持ち言ったから?
mz
あんま興奮すんな
まぜ太が軽く頭をはたく。

その横で、
あっとが考え込むように呟いた。
at
感情の抑制が逆にくるタイプか…
kty
あっちゃん研究者みたいなこと言ってる
at
事実だろ
いつもの軽いやり取り。

でも私は、
その言葉が頭に残った。

気持ちを押し込めるほど、
星屑化が進む。

もしそうなら。

自分はずっと、
自分で自分を壊してたってことになる。

その時。



右腕に違和感が走る。

私は息を止めた。

透けた部分の奥。

星空みたいな光が、
微かに明滅している。

脈打つみたいに。





嫌な感覚。

次の発作の前触れ。
私の顔色が変わった瞬間。

けちゃが気づく。
kty
またくる…?
小さく頷く
mz
じゃあ喋れ
(なまえ)
あなた
え
mz
感情溜めると悪化すんだろ?
雑な言い方。

でも真剣だった。
mz
なんでもいいから吐け
困る

そんなこと言われても。

急には――
pr
嫌いな食べ物でもいい
at
俺きのこ類全般
pr
聞いてねぇ
mz
俺きゅうり
tg
まぜたん何歳?w
mz
うるせぇ
会話が始まる。

本当に、
どうでもいい話。

でも。

その輪の中に、
自然に私の席がある。

それが少し嬉しくて。

少しだけ怖かった。

だって。

こんな場所、
失いたくなくなる。

その瞬間。



胸元に、
新しいひびが入った。
全員の顔が変わる。

ひびは心臓の近く。

今までより深い。

しかも。

透けた皮膚の奥の光が、
不安定に明滅していた。
kty
やばくない?
私は息を乱しながら胸を押さえた。

苦しい。


痛い。

でも。

それ以上に。

みんなの顔が怖かった。

まるで…

“これ以上壊れたらまずい”

って、
分かってるみたいな顔。
よしかけたぁぁぁぁあ!

頑張ったよ…

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