第23話

予想外の言葉
69
2025/06/24 05:34 更新
入院している間、みんな私の顔を見に来てくれた

みんな私がしてしまった事を知りながら
来てくれる。


あの行動に踏み切ったのは
みんながそばにいてくれたからなのかもしれない。



退院し、私は仕事に復帰することができて
仕事が終わる時間直前に牛沢がやってきた。

牛沢
よっ
あなた
あ、あれ牛沢?
どうしたの?
牛沢
後ちょっとだろ
PC周辺機器を見てたついでに来た。
会いに来てくれて、嬉しくなりつつ
まだ迷っている言霊を本に戻す仕事に戻った。

後ろで彼が1人ソファーに腰掛けて本を読んでいる。


その姿の周りに光が見えるくらい
カッコよかった。


あなた
(・・やばい、牛沢が・・カッコ良すぎる)
えー!えぇーーー!私、こんなキャラだっけ!?
いい歳してこんなこと思うなんてっ・・!!


ドギマギしながら、仕事に戻る。














この間戦った言霊とは違い、暖色よりの白い光が
彼女の周りを浮遊している。あやめが運んで行ったり
あなた自身が言霊に声をかけて誘導していく。


それはまるで魔法使いのようだった。


優しい横顔。そんな顔が愛しく思える。


あなた
ありゃー・・入りたくないかぁ。
牛沢ごめん。後この子だけ本の世界に送り届けないといけないんだけど、ちょっと待っててもらっていい?
牛沢
送り届ける?
あなた
元の世界に戻そうとしても、混乱して
戻りたくない子時々いるんだよ。
牛沢
へぇ。
あなた
・・・ちょっとだけ見てみる?本の世界
悪い気配は取り除いたから大丈夫。
牛沢
え?
倉庫の人気のないところまで
連れて行かれ、迷子になっている言霊もついてきた。

言霊は小学生高学年くらいの女の子の姿をしている。
あなた
開いて。
そう言うと、彼女が持っていた本が開き、
周りが違う景色に包まれた。
木々が生い茂り、一軒家が建っている。


あなた
懐かしい。昔読んだ作品だ
牛沢
なんていう本?
あなた
「西の魔女が死んだ」
牛沢
重いタイトルだな
あなた
まぁ、重い話と言えば、そうかもしれないね。
そばにいる子、主人公の言霊なんだけど
常に孤独感がついて回る女の子なの。

お母さんと折り合いが悪くて、ストレスで声が出なくなっちゃうんだ。
おばあちゃんちに預けられるんだけど、学校に行かない代わりに、魔女としての修行をするの
牛沢
魔法とか?
あなた
ううん。この話は、ファンタジー要素はそんなにないんだけど、自然と触れあったり、おばあちゃんから教わった知識を身に付けるの。
「戻れそう?」と彼女が優しく声をかけ
言霊は、家の方へと去っていった。
あなた
最終的に高齢だったおばあちゃんは、主人公に自分が死んだら、何かしら知らせをするって言う約束をするんだ。おばあちゃんの葬儀が終わって、窓を見ると
メッセージが書かれているの。

「西の魔女から、東の魔女へ、おばあちゃんの魂、脱出大成功!」って。
そして、周りの景色が透けていき
彼女は本を閉じる。

そうすると、元の図書館の景色に戻った。
あなた
この作品は、一貫して読者に伝えていることがあるんだ。

「いちばん大切なのは、意志の力、自分で決める力、自分で決めたことをやり遂げる力です。 その力が強くなれば、悪魔もそう簡単にはとりつかない」
目を少し細め、口角が柔らかく上がり
肩をすくめる
あなた
なかなか難しいことなんだけどね。でも

私はこの言葉で救われた。
紙守人は家業だったけど、この作品に出会って
この職業になろうと思ったの。

いつの間にか忘れてしまったけど。
牛沢
そっか。
あなた
あの時のことはきっと私は一生忘れることができないし
大きな罪としてずっと背負うことになると思う。

けど、やっぱり牛沢と一緒に生きていきたい。
牛沢
なんか、プロポーズみたいだな。
あなた
そう捉えてもいいよ。
冗談めいた言葉を彼女はそうやって、優しい笑顔で
そう返答した。


穏やかな空気なのに、たった、それだけの一言で
俺は動揺する。


俺のことが、好きと捉えて良いのだろうか?






彼女は、はっとした顔を見せて
頬を赤く染めて帰ろうかと焦った様子で
帰り支度を始めた。



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