言ってしまった
でも1ヶ月後には別の所に移るから
心にあるわだかまりを、早く吐き出したかった
これで心置き無く、テヒョンさん達の元で働ける
そう思っていると、ヨンジュンが突然吹き出した
その反応を見て、まだ私の事を妹扱いしているのだと
少し心がチクッとした
言葉を吐き出す度に、涙が溜まる
どんどん視界がぼやけて
そして最後の言葉を言い終わった頃には、
涙が頬を伝って
ポタリ
床に落ちていった
こんな姿、ヨンジュンに見せられなくて
そう言って私の腕を掴んでくる
ヨンジュンの手を振り払って
私の家だけど
そんなことも考えずに、ドアの外に出た
外は変わらず土砂降りで
今の気持ちによく合っている
そこで、傘を持ってきていなかったことに気付く
馬鹿すぎるでしょ、私
今更家に戻ることもできないので
傘を差さずに、私は近くのコンビニまで歩いて行った
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🦊side
あなたの居なくなった部屋で1人、溜息が自然と出る
なんで気付かなかったんだろ
俺は少し鈍感なのかもしれない
1ヶ月後にはあなたが先輩達の元に行ってしまう
そう思うと、少し胸が苦しくなった
あなたのいない静かな部屋を改めて見ると
メイク道具や、雑誌などが溢れかえっている中で
写真立てに飾ってある、1枚の写真が目についた
ベッドの横にある、棚の上にどこか寂しそうに飾ってある写真立て
でもそれが、部屋に彩りを与えているようだった
その写真立てには、俺とあなたが写っていて
今と変わらない笑顔で笑っているあなたの姿があった
あなたを見ると、自然と口から零れる
その言葉にも、あなたは苦しんでいたんだろうか
俺めっちゃクズ男じゃん...
1人で落ち込みながら、写真を元の位置に戻す
本当はこんなことをしてる場合じゃないのに
何故かあなたに面と向かって話す自信が無くて
動けずにいる自分が居た
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!