更新めっちゃサボっててすみません…
透過病の続きを書く気にならなかったんですけど突如ネタ振ってきたので書きます(透過病は気長にお待ちを)
バースではないけどバースっぽい概念
あ、もしかしたら過去一暗い話なんでお気をつけて(
…この世には、運命の人というものが存在するらしい。
運命同士は出会った瞬間から惹かれ合い、目が合った時に本能で互いの存在に気づくのだという。
運命の人同士は生涯かけてお互いたった一人を愛し、自身の命より大切な存在とする。
…全員にその存在がいるわけではないが、結ばれた者同士は、多大なる幸福を得ることができるという…
…俺の父親と母親は、まさにその"運命"同士だった。
普通に学生時代に出会い、普通に結ばれ、普通の幸せを手に入れた。
そんな二人の間に生まれた俺も、当然幸せな生活を送っていた。
二人は本当に愛し合っていた。
僕だって、二人のことが大好きだった。
何も悪いことなんてしてない。
ただ、家族三人で普通に暮らしていただけ。
それなのに…全部全部…
…数年前。
忘れたいのに、忘れることはない、あの日の記憶。
いつも通り小学校が終わった。
友達とふざけて帰り道を歩いた。
友達と別れてからも、今日はテストで良い点とったんだって褒めてもらおうと思い、弾む足取りで家まで向かっていた。
…あの、光景を見るまでは。
ゴオオオオオォォォ…
僕は目を見開いた。
いつも通りの道を歩いてきたはずなのに、そこにいつも通りの光景、いつもの家はなかった。
僕の目にはごうごうと空高く舞い踊る赤く揺らめくものが映り、その勢いはどんどん激しくなっていく。
信じられない光景と、焦げ臭いけむりの匂いがして、思わず息を止める。
その、"炎"は…
僕の家から、燃え盛っていた。
…二人は、家の中から遺体として発見された。
…誰かが、家に火をつけたんだ。
警察が捜査を進めたけれど、証拠はほとんど残っておらず、犯人は結局見つからなかった。
信じられない。信じたくなかった。
大好きな二人が死んだなんて。
それも、誰かが故意にしたことだなんて。
…俺は、ぎりっと歯を食いしばり、ぎゅっと拳を握った。
そんな…
そんなこと…
許せない、許せない許せない。
許せない。
誰がそんなことをした?動機は?
ただ、普通に幸せに生活していただけなのに。
なぜ二人が殺されなければならなかった?
…絶対に見つけ出す。
…死ね。
復讐してやる。
二人と同じ目に、いや、俺と同じ苦しみを味わわせる。
そいつの一番大切なものを痛めつけて、もう取り返しのつかないことにする。
死ね。死ね。
死ね!!!!
全員死んでしまえばいい!!!
そんな思いを抱えながら、この数年間、ずっとそのことについて調べてきた。
そうして、俺は高校生にもなってようやく、その事件の犯人を突き止めた。
…名前は、紅瀬誠。
有名企業の社員だ。
学生時代に二人と関わりがあるようだった。
妻は子を産んだ時に死に、今はその一人息子と幸せに暮らしているそうだ。
…では、さぞかしその息子が大切なのだろう。
…放火をした理由まではわからない。
だが、理由なんてどうでもいい。
…その息子を、殺してやる。
大切なものを失う苦しみを、味わわせてやる。
…ようやく、復讐を果たすことができる…
俺の口角が、にやりと上がった。
そのために俺はこれまで生きてきた。
やり遂げられれば、あとは何だって良い。
俺は、その息子についても調べることにした。
…男子高校生。俺と同い年。
この近辺でまだ、父親と暮らしているそう。
…名前は…
…紅瀬魁斗。
俺は幼少期は孤児院に引き取られ、今は一人暮らしをしている。
普通に高校にも通っていて、いつも通り登校して授業を受けるつもりだった。
そう告げられた瞬間、妙な胸騒ぎがした。
教室がざわつく中、こつ、こつとゆっくりとした足音が耳に響く。
…その顔を見た瞬間、俺は息をのんだ。
そう言って、にこっと微笑む。
途端に、俺は感情が抑えられなくなった。
…あの男の子供。
この世で最も、憎んでいる存在。
…死ね。死ね。死ね。
殺してやる…ッッッ
…だけれど、なぜだかその気持ちは、その割には落ち着いていたような気がする。
なんというか、心地良い。
どこかうっとりとして、そして、何かを求めるような感覚がした。
言われるがまま、紅瀬はこちらの方へ向かってくる。
そうして、すとんと俺の隣の席に座ると、こちらを振り向いて、
そうして、すっと手を差し伸べ、同じように微笑んだ。
俺も、強制されるようにそちらの方へ目をやった。
ばちっと、目線が合った。
ドクン
どくん、どくん、どく、どく…
体が疼く。
心臓が経験したことのない速さで脈打つ。
本当に、本能が湧き上がってくるような、そんな感じだ。
…俺のものだ。
衝動的に、そう感じた。
それは、相手も同じようで。
戸惑いつつ、顔を真っ赤にして、じり、と近づいてくるように思えた。
俺は、ふいっとそっぽを向いた。
そうすると、相手もはっとしたのか、前を向き、それ以上は一言も発さなかった。
…授業中も、気が気でならなくて、必死に衝動を抑え込もうとしていた。
…あの憎たらしい男の息子が、俺と運命同士…?
受け入れたくない。殺してやる。
早く死ねばいい。
殺してやりたい。殺す、殺す…ッッ
…体は、言うことを聞かなかった。
…何を思って話しかけに来たのか。
吐き気がする。早く失せろ。
こいつも運命自体は感じているだろうが、その影響だろうか。
どこかたじろいでいる様子に、妙に苛立った。
にこっと、笑顔を作る。
そうすると、そいつはどこかぱっと顔を輝かせた。
…せめて、殺す瞬間までは、悟られないようにしないと…
二人並んで歩いて、指を指した場所の名前を真面目に言っていく。
そうすると、何を思ったのか、紅瀬はたっと駆けて、一つ質問を投げかけてきた。
俺の話に興味があるのかないのか知らないが、紅瀬はどんどん階段の方へ向かっていき、俺もそれを追いかけた。
…暗い。誰もいない。
どくん、どくん、どくん…っっ
…だめや。
抑え、られない。
だんっっっっ!!!!!
そいつは、びくっと体を震わせる。
しばらく固まっていたが、自分がされている状況に気づくと、ぼぼっと頬を赤らめさせた。
チュ…
…ちゅ、ちゅくちゅ…
チュクレロ、チュクチュク、チュッ…
俺が口を離すと、そいつは顔を真っ赤にして、つーっとよだれを垂らした。
それどころか、もっと、といった様子で俺の方へ顔を近づけてくる。
バシッッッ…!!
…俺は、そいつの頬を平手打ちした。
そいつは、目を見開いて、ひどく戸惑い、そして辛そうに顔をゆがませた。











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。