カツカツ。と足早にヒールを鳴らしながら、深くため息をつく。
それは、今から『使用人に謝りにいけ』と言われたから。
…私が移る前までに起こしたニコルの行動のままで記録されてるなんて、そんなの難易度高すぎでしょう…、。
それに、悪役令嬢の評判をあげたほうが…物語のシナリオを変えれるかもしれないし。
なんて考えていると、さっそく…大廊下に2人の使用人の姿が見えた。
黒い長髪をなびかせた猫目のメイドは…サクラ。
茶髪で大きな瞳をしたメイドは…ルカ。
ルカはゲーム内では悪役令嬢がよくいじめていた存在であり…後にマリアの専属メイドになるキャラ。
そしてサクラは、ここの王宮の…メイド長。
…さっき…メイド長に…だから、サクラに水をかけたと言ってたよね。
私は、少し小走りで近寄り2人の名前をよび……
深々と頭を下げた。
…よし、言えた……!
礼儀正しく…敬うように…ちゃんと、できたはず…!
そう思い、顔をあげる。
…でも、
サクラは眉間にしわをよせて、私の事を怪訝そうに見つめてきた。
それは、ルカも同じで…
そう、私を睨みつけていた。
ゲームのストーリーで、『ニコルの傲慢さは、彼女の使用人も王宮の使用人までも頭を抱えるものだから』と、涼太様が言っていた。
…それに、ニコルの悪口を使用人が裏側で言っているシーンもあったよね。
その中でもこの2人はニコルに1番被害をうけて…酷く嫌っていた。
そんな相手にいくら謝っても…正直、うっとうしがらるだけかもしれない。
私は、表面上で笑顔を作り、2人を後にした。
あの後も、王宮を歩き回って手当たり次第に使用人の方々に謝ったけれども、
結果は無視か貶されるかのどちらかで、誰も私を許すことはなかった。
…まあ、確かに急に謝り始めたんだし、不審がられるのはおかしくはないけども。
はぁ…と、何回目かもわからないため息を零そうとしたときに、頭上からーー涼太様の声が降ってきた。
私は、曇った表情を戻し、彼の顔を見上げた。
彼はニッコリと微笑んだ。
いや、……謝罪をしてる姿が素敵って………。
とらえ方に任せる…か。
この人…ゲームの原作の中でもなかなか考えてることが分かんなくて…攻略難しかったんだよね……。
彼の意味深な言葉に…瞳に、全身が囚われる。
…期待って、何のことだろう。
彼は、私の髪から毛束をとってくるりと指先に絡めた。
……なるほど、じゃあ王妃として認められる女になれば…彼と結婚できるということか。
…それなら、
私は、彼に近づき、ふふん。と鼻を鳴らしてそう言った。
4話 悪役令嬢は期待される。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。