思わず。思わず彼女に好きだと伝えてしまった。


本当はただあなたと映画が見たかっただけなのに。
一緒の時間が過ごしたかっただけなのに。


隣で映画を見ている彼女を見ていたら気持ちが抑えきれなくなって伝えてしまった。









案の定、彼女は目を見開いて固まっている。


そりゃそうだろう。
兄からの好意など迷惑以外の何者でもない。


俺は否定しようと口を開いた。









でも。

否定なんて出来なかった。


この気持ちは、紛れもない俺自身の気持ちなんだから。


引いだだろう。
迷惑がっているだろう。


この後のあなたの反応が少し怖くてこの場から逃げ出しそうになる。


でも逃げてしまったらこの気持ちからも逃げるような気がしたから。
動かなかった。


あなたの目を見つめたまま。
















返事はいいと言ったはずなのに目を逸らさないなんて変な話だ。


でもきっと心のどこかでは返事を待っている自分がいる。


しっかりとフラれて、この気持ちに区切りをつけたい。
なんならこのまま付き合いたい。
そう思っている自分がいる。

あなたはしばらく固まっていたが、俺に聞こえるか聞こえないかの声で言った。

夢なんじゃないかって思ったし、俺に気を使ってくれてるだけなんじゃないかとも思った。


でもこのような場であなたはそんな事しないって事、ここまで一緒に暮らしてきてわかっていた。

だから、俺は彼女をそっと抱きしめた。


抱きしめられたあなたが照れて顔を俺の胸にうずめているのが可愛くて、愛おしくて。

妹と、恋。
彼女が妹。


周りからしたら変な目で見られると思う。


でも、これが俺の選んだ道だし。
俺の気持ちだ。


だから胸を張って言う。










俺はあなたが大好きだ。

end_ ( 次回後日談 )