« 紅魔館 レミリアside »
そう言いきった博麗の巫女に私は動揺を隠すのに精一杯
正直ここまで言ってくるとは思っていなかった
あらゆる可能性は考えていたつもりなのだけれど……
「それもそうね、躍起になる必要も無いわ」
「失礼ね、人の心は捨ててないのよ」
「こんな時間もタイムロスだわ」
「ゴチャゴチャ言ってないで協力しなさい」
おそらく誤魔化されるだろうと思っていた
元々協力するつもりだったところを少し遊んだだけ
ここでポッキリ諦めるようだったら協力も覆すけど
まあ結果は想像以上の満足、と言ったところね
そう告げると霊夢は安心したかのように表情を緩ませる
八雲は表情を変えたりしない……見透かされているようで心底腹が立つ
八雲について考えるのは放棄し横の部屋にて待機しているはずのパチェに話しかける
私の後ろに控えていたはずの咲夜はいつの間にかドアを開き、あたかもそれを知っていたかのようにパチェが廊下のど真ん中で待機していた
パチェは目を伏せ、少し呆れたような口調で話しながらこちらへ歩み寄ってくる
八雲は相も変わらず表情を変えず扇を口元にかざしながら喋る
まだ出ていないのなら手の打ちようがあるわね
少し安心、と言ったところかしら
霊夢の鋭い反論にパチェは少し不服そうな顔をする
その言葉を聞いた刹那霊夢の目の色が露骨に変わる
が、先程の言葉で期限を損ねてしまったパチェは霊夢の目を見ることなく告げる
そう言って立ち去ろうとするパチェを霊夢は必死で引留める
時間が無いと最初に告げたはずの張本人がゴタゴタと意味のない言い争いを繰り広げている
そんなことをしている間に魔理沙が外に行ってしまったらどうするのよ
霊夢は少し反省したようで……いいえ、全く反省していないわ不服そうな顔をしているもの
そんなものは放っておき未だ不服そうなパチェに話しかける
パチェはもう諦めたとでも言うような表情をした後私の椅子の背後で腕を組んだ
ここでまたやはり霊夢の野次が入る
明らかに気持ちの籠っていないお礼に少し腹を立てつつ私の素晴らしき寛容さで見逃し、話を再開した
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。