NOT side
番組のスタッフたちから送られてきた女性陣側の応募動画。
そしてそれと同じ数のプロフィールやらの書類たち。
その数を見て、今度は町の役員たちが頭を抱えていた。
確かに、今回の応募総数はとんでもない数だとは聞いていたけれど、まさか千通から選ぶだなんて。
これでも減らした方なんです、と番組からのメールに付け加えられていた。
こんな千通もある書類と動画をこの8人がちゃんと見るだろうか。
はーいと間の抜けた返事をされる。
今回の最終審査は番組スタッフたちが頑張って減らした結果の千人から、また選びに選び抜いて8人にしなければならないというキツいもの。
やっぱり本人たちに審査してもらわなければダメだろうとなり、8人に集まってもらった。
…そして彼らをあやしながら。
どちらかと言えば、こっちの方が大変かもしれない。
そんな会話を聞きながら、千人分の動画を回していく。
ちょうど女性500人の方の動画が終わったとき、パッと彼らの方を見てみたらため息が出てしまった。
みんな寝そう。なんなら違うことしてる人が数人。
ゲームのガチャを回したり、ちょっと参考書読んだり、お昼寝に入っていたり。
唯一ちゃんと起きて動画を全部見てる最年少が、そろそろ男の人たちの方入るよーって他の7人に教えてくれていた。
最年少の声はちゃんと耳に入るのか、それに7人が返事をしてまた大きい画面を見る。
女性たちの動画ではつまらなそうな顔をしていた彼らが、とある男性の動画に入ったときに反応を示した。
その一瞬の揺らぎを、町役員の彼は気づくことが出来なかった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。