第38話

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2025/07/20 12:00 更新



「 …… 覚えてないことまだいっぱいありますか?」



渡辺くんの問いかけに私はそっと

写真の淵を指でなぞった



「 …… 断片的には少しずつ。でも ……

一番大事なとこがまだぼやけてる気がする」

「そうですか … 無理ないですよ」



渡辺くんは笑いながらグラスの水を一口飲んだ



「涼太は昔ほんとに泣き虫だったんですよ」

「え、そうだったの?」

「はい … 俺たちによく守られてた。

でも青島さんはいじめられてる

涼太を見てるのが嫌で

危ないって言ってもしょっちゅう俺の制止を

遮ってリーダー格の男子たちに

喧嘩売りにいってましたよ?」

「 …… え … 私が?」

「はい。女の子のくせにって当時は

思ったりしたけど頼もしくて …

それが …… めっちゃかっこよかった」



照れ笑いをしながらそう言う渡辺くんに

胸がじんわり熱くなるのを感じた



(そんなこと …… 知らなかった)



「ほんとに …… 忘れてごめんね」



ぽつりとこぼすと渡辺くんは慌てたように手を振った



「いやいやいや!忘れろって言ったのは俺ですから。

青島さんが悪いわけじゃないし」

「でもそんな …… 渡辺くんと遊んだこととかを

全部忘れてたなんて …… 」

「 …… いややっぱ忘れてたんじゃないですよ」



渡辺くんは急に真剣な目でこちらを見つめてきた



「覚えてなかっただけ。心の奥では

ちゃんと繋がってた …… だから

こうして今会えてるんですよ?

俺最初教育担当が青島さんって聞いて

何度ふっかさんに聞き直したからわかりませんからね?」



胸の奥がじんと熱くなる



( …… 繋がってた)



その言葉が私の胸に深く響いた



「じゃあ …… 」



渡辺くんが少し不安そうな笑顔を見せた



「これからは忘れないでいてくれますか?」



一瞬言葉に詰まったけれどすぐに小さく

でも力強くうなずいた



「うん。これからは …… 絶対忘れない」



その答えを聞いて渡辺くんの頬がほんのり赤くなった



「 …… なんか告白みたいになっちゃいましたね」

「 …… !」



ドキリとして私も顔を熱くしてしまった



( …… 告白?私、今 …… )


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