第36話

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2025/07/19 12:00 更新



ホテルの部屋の窓辺でスマホを握りしめる



( …… 送信しちゃった …… )



「渡辺くんとちゃんと話したいことがある。

私が東京いる間に会って話せるかな?」



メッセージを送った後胸がドキドキして仕方なかった



(返事すぐ来るかな …… )



時計の針の音がやけに大きく聞こえる



ピロン



スマホが震えて思わず飛びついた



「青島さん明日ちょっと俺の新規開拓に付き合って!」



なんだ …… 深澤さんか

肩を落としてショボンとすると再びスマホが震えた



「明日の夜なら空いてます。

俺も青島さんと話がしたいです」



今度来たのは願っていた渡辺くんからだった

画面の文字を見つめて大きく息を吐いた



( …… よかった)



緊張で張り詰めていた肩の力がやっと少し抜ける



*



次の日の夜指定されたのは都内の

落ち着いたダイニングバー



「青島さんこっち」



奥の席から手を振る渡辺くん

今日は私も渡辺くんも営業回ってからの

直帰だったのでお互い見慣れたスーツ姿だ



「忙しいのに …… ごめんね?」

「いえ。俺もちゃんと話したいと思ってたので」



向かい合って座るとお互いなんだか

少し照れ臭くて笑ってしまう



「 …… なんか … 」



渡辺くんがグラスを指で

くるくる回しながらぼそっと呟いた



「青島さん思い出そうとしてるんでしょ?」

「 …… !」



図星を突かれて胸が跳ね上がる



「なんでそう思ったの?」

「そりゃ …… 顔見りゃわかる。

昔からそういうところ隠せないじゃん」

「昔から …… 」



(そう昔から。なんで私は ……

全部忘れて彼を苦しめてるんだろう)


会話が途切れたときふと渡辺くんが席を立った



「ちょっとトイレ行ってきます。

戻ったら …… ちゃんと話しましょう」



その後ろ姿を見送ったとき渡辺くんの

鞄の中に入っていた数枚の写真が目に入った



「 …… え?」



思わず手が伸びる



小さい頃の集合写真

涼太と一緒に映る小さな男の子

そして私自身



(これ …… )



心臓がドクンと跳ねる

涼太のお店で見たアルバムと同じ写真 …

本当に渡辺くんだったんだ ……



遠くぼんやりとしていた記憶が

少しずつ色を取り戻していくような感覚



(私 …… )



1人で考え込んでいると背後から声がした



「 …… 話す前に見つけちゃいましたか?」



振り向くと戻ってきた渡辺くんが

少し照れくさそうに笑って立っていた


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