そりゃそうですともカリムと
離れなくてすむのだから
明日から、ウィンターホリデー
前回のサマーホリデーはカリムと1ヶ月以上離れ
離れで死ぬ思いをした、だが今回のホリデー
はカリムの実家に住まわせていただくことになった
歩いていた私を急にバッグハグするので
間抜けな声が出てしまった
宴……………前回カリムパパに幸せにします宣言
したから、少し気まづいんだよね
1日はあっという間にすぎ
ウィンターホリデーの初めの1日
そう言われ更衣室に置いてあった
衣装を見て私達は驚愕した
絹のような手触りの布に金色の沢山の装飾
何より熱砂の国安定の露出だらけの衣装の
色は真紅
真紅は熱砂の国の正妃のみが許された禁色
代々アジーム家では、正妃をお披露目する会
で正妃が真紅の衣装を纏う、正妃以外のものが
禁色を纏うと反逆罪で捕まってしまうほどで
熱砂の国の女性が死ぬほど憧れる衣装
分かりやすく説明すると、私がこの衣装を
纏いカリムにエスコートされれば、それはもう
「私はカリムの将来の嫁です」って言ってい
るようなものであって
つまり、宴中の女性全員を敵に回すということ
着る勇気ないっす
カリムは乱暴に扉を開けズカズカと入ってくる
優秀な従者と護衛達のおかげで何とか時間に
間に合った、宴の場へとカリムと共に歩いて
いる時も女性陣達の視線が痛かった
そして、宴が始まった今
沢山の女性達がカリムの周りに集まっている
あ、美味そう
私の余裕の笑みに彼女達の顔が若干引き攣る
私を睨む女性陣、それでも微笑む私、全く
気づかずいつもの能天気な笑顔を浮かべる
カリムと、なんともカオスな状況
あの、ぜーんぶ聞こえてます。ていううか
あの能天気野郎はどうして聞こえてないの!
今まで、私がどれだけの令嬢の嫌味を
聞きにかわしてきたと思っているの?その
程度の安い挑発にこの私が乗るはずないでしょう
青い顔をした彼女達が足早に去って行った
と思ったらまた新たな女の子達が来た
次はボンキュッボンの女の子3人組が来た
1人はカリムの腕に胸を押し当て、1人は
カリムの首に腕を回す、そしてもう1人は
カリムの頬を両手で挟む
いやいや、これは流石にありえないでしょ!
この方達殺して差し上げてもよろしいでしょうか?
ありえない、それを何も言わずにされるが
ままのカリムもどうして貴女の頭の中は
そんなにお花畑なのよ!
いいや、落ち着いて私、大丈夫
甘ったるい声でそういったクソ女は
カリムの胸元をゆっくりと撫で回す
まじで、本当に何なのこいつ
行きすぎたスキンシップを働く度に
私の方を向き勝ち誇った笑みを浮かべる
ボンキュッボンの3人組
我慢よ、我慢
カリムは皆に優しいだけ
壁も作らなくて男女差別しなくて
誰にでも平等に接する心から優しい人
ってだけでしょ、そんなカリムだから
大好きなんじゃない
そんなカリムだから好きになったんじゃない
側妻をつくってもおかしくないのに、
私のためにつくらないって言ってくれた
それだけで贅沢なのに、我慢しなきゃいけないのに
目頭が熱くなるのを感じ、溜まったものが
溢れる前に急いでその場を後にする
足早にその場を後にして、少し夜風にあた
ることのできるバルコニーへと向かう
来た道を振り返り、カリムが追いかけてくれ
ないことを確認すると少しだけ胸が痛んだ
私ってこんなにめんどくさい女だったっけ?
おぉこれぞ夢小説あるあるか
彼女は怒鳴りながら、私の衣装にワイン
をかけた、真紅のシルクの素材に紫色の
大きいシミがじわじわと広がる
こいつら…………まじで何してんの!?
彼女達は顔色が段々と悪くなっていき
すぐにその場を去っていった
あぁもう最悪
カリムにせっかくプレゼントしてもらった
衣装、汚しちゃった…………
とぼとぼとカリム達の元へと戻る
私のボロボロの姿を見てカリムは一瞬で
顔色を変え、こちらを真っ直ぐ見つめて
声のトーンがすごく低い、そんなカリムに
周りの美女達も酷く驚いている
立ち上がろうとしたカリムを美女3人組が
止める、女の子に弱いカリムは眉を下げ
されるがままにされている
私はカリムに膝をつき
と、怒りを滲ませた声色でカリムを睨む
そんな彼らの会話が段々と遠ざかる
私の後に付いている、リア、サラ、リズ
はとても暗い顔をしていた
そして、私の用意された部屋に入る
3人が出ていったことを確認しベットに
うつ伏せになり、扉の向こうで護衛を
しているリズに聞こえないようになるべく
声を押し殺して涙を流す
30分間、私はひたすらに泣いていた
嗚咽がやみリズにバレないように窓
から降りて、夜風を感じ宮殿を探索
する
きちんと私の所へと向かおうとしてくれた
という事実に感動していたのもつかの間
次の瞬間、カリムとその彼女の唇が触れ合った
なに…………?今の…………どういうこと?
そう言って、カリムはその場を去り
その後を女の子も追っていった
1人、その場で座り放心していた
男達に押し倒され衣服を破かれる、胸に
沢山の痕をつけられ………そのあとはもう
覚えていない
あまりにもショックで信じたくなくて
もういっその事抱いてくれ、私を傷物にして
くれ、そしてこれを理由にカリムと別れよう
もう嫌だ、たくさんだ、こうやって我慢するのは
こうして他の人と体を重ねるのなんて前の
私だったら絶対に嫌だ、でももうどうでも
いい
あぁ……………段々と汚れていく
意識が遠のくなか、誰かも分からない
男のものが入ってくるのをただ呆然と
見つめていた
いつもなら気持ちいいか痛いかのどちらか
だけど何も感じない、何も聞こえない
頬に激しい衝撃が走り、口の中が鉄の味がした
殴られているんだと気づいた
この後、カリムと別れて死のう
皇帝の座は弟のシャルルに任せて
リズには弟の従者を頼もう
楽しかった、いい人生だった
私にとってはとても贅沢で大切で美しい人生だった
大好きな彼の声が響いた
もしも、私が逆の立場だったらどうしよう
私がネオくんとキスしたあの時、カリムから
「他の女を抱いたから別れよう」なんて
言われたら…………絶望しかない
その後、カリムが死んだと告げられたら
ふと、我に返り2人の男を突き放す
腹にそれぞれ2発入れ気絶させた後
残り少ない布で体を隠し急いで走る
ドンッ
と誰かにぶつかり、それがカリムということに
気づくのに時間はかからなかった、安心して
腰が抜け、へにゃと床に滑り落ちる
途切れ途切れに発する震えたか細い声も、
信じられないものを見るような目で他の男
がつけた痣と痕を見たと思ったら、突如
目を見開き眉を釣り上げた。
次々と頬に涙が溢れる
カリムは自分の服を私に被せ震えた私の
体を抱きしめてくれた
カリムの顔をちらっと見ると今までの
怒った顔が可愛く見えるぐらいに鋭い
目付きをしていた、こんな顔で見つめられたら
泡を吹いて倒れる自信がある
2人だけの、廊下に私の怒りの叫び声が響く
思ってもいない言葉を口にした瞬間
大きな後悔が押し寄せてくる
カリムの顔を見ようと顔を動かすと
その直後、カリムは私をお姫様抱っこした
怒り狂ったカリムはジャミルにそう叫んだ
そして、カリムの部屋のベットに私を雑に
下ろす
すぐに私の上に覆いかぶさり口の中に舌を
入れる、今までにないぐらいに激しく強引
で私の全てを求めるようにキスを繰り返す
ゆっくりと舌を絡めるいつもの優しく甘い
キスとは違う、怒りに身を任せているようだった
そして、少ししかない布を破りそのまま
私の中に慣らすことなく突っ込む
カリムは最初から上手かったので、性欲が
爆発した時以外は全て気持ちのいいものだった
いや、性欲が爆発した時ですらこんなに痛くなかっ
た、
未だに口の中にあるカリム
の舌で上手く息ができない
痛すぎて、苦しすぎてもう訳が分からない
涙を流し嗚咽が混じった声でひたすら謝る
許してくれないだろう、このまま痛みを
我慢するしかないだろう、そう思っていた
なのに
痛みは消え、口も下も解放され
カリムは震えた手で私を抱きしめる
泣きながらひたすらに謝る
嗚咽が泣き止むまで、カリムはひたすらに
私を抱きしめてくれた、そして一緒に
風呂に入り私の胸元についた沢山の痕を
上書きしてその上に沢山の痕をつけて
そのまま沢山、カリムの手で私の体を
洗ってくれた
何ラウンドしたのか………もう数えるのもやめた
そして、朝までずっとお互いを求め合い
カリムはもう飽きたんじゃと思うほど肌を重ねた
そして流石に疲れ抱きしめあって
ベットに寝転び一息ついていた
落ち着いた声でゆっくりと力強く話す
安心して息をホッと吐く、そしてカリムの胸に
すりすりと頭を寄せる、カリムはそんな私の
額にキスを沢山落としてくれた
突如、扉がすごい音がして開いた
リア、リズ、サラ、がズカズカと入ってくる
いやていううか、今私裸なんですけど
リズは大きなため息を吐き私をぎゅっと抱きしめる
リズの手が震えていたことに気づいた、あのリズが
怖いものなしの最強のリズがこんなに震えている
私は別に構いませんよ?でもカリムさんが
絶対にブチギレるでしょう……………
私とカリムの斜め上に映像が流れ出した
「大富豪の選ぶ極上の女だぞ」
「君、よく見れば顔すっげぇ美人」
「こいつ、持って帰る?」
「あぁ、スタイルも悪くない」
そう言いながら私を犯し続ける男たちの
映像が流れる、リアとサラは目を背け
カリムは今にも人を殺しそうな目で
リズは無表情で見終わったあとに殺す、
と呟いてリアとサラで出ていった
カリムは私の殴られた頬を優しく触れ
不器用な手つきで消毒をしてから白色の
ガーゼを貼ってくれた
カリムとそのまま、優しいキスを交わし
そのままお風呂に入って楽しい時間を過ごす
私が疲れて寝た後に、カリムが地下牢に行き
自ら拷問して少しづつ苦しめ男2人を殺した
ことを私は2ヶ月後に気づいたのだった
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!