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第6話

第4話 星屑の瞬き
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2026/05/02 17:43 更新

初兎
…ほとけくんは?


初兎の声に、少しだけ視線が向く。


その一言が、妙に静かに響いた気がした。

ほとけ
……ぼく、は…


一瞬、言葉が詰まる。


何度も言ってきたはずの自分のことなのに、
こうして改めて口にするのは少しだけ怖かった。

ほとけ
星涙病…ってやつ。


喉の奥が、わずかに重くなる。


言い終えた瞬間、胸の奥が少しだけざわついた。

ほとけ
涙がさ…


指先で、頬に残っていた湿り気をなぞる。

ほとけ
勝手に出てくるんだよね。


悲しくもない。
苦しくもない。


それなのに、身体だけが先に反応する。


その時だった。


ぽたり、と小さな音がした。


視線を落とすと、床の上にひとつ。


透明ではない、小さく光る“星”。

初兎
…へぇ、ほんまに星なんや


初兎が、少しだけ感心したように呟いた。


その言葉に、なぜか胸の奥が少しだけ揺れる。


今まで、そんなふうに言われたことはなかった。

初兎
…綺麗やね


さらっと出たその一言に、思わず顔を上げる。


一瞬、意味が分からなかった。

ほとけ
綺麗…?


小さく返す。


自分にとっては、ただ“困るもの”でしかなかったから。

初兎
?…おん


初兎は普通に頷いた。


その迷いのなさが、逆に不思議だった。

初兎
でもやっぱ、しんどいやろ?
これが出るのは。


その言葉に、呼吸が一瞬止まる。


誰かに“しんどい”と当てられるのは、
思っていたよりも鋭かった。

ほとけ
…うん


結局、それしか言えなかった。


沈黙が落ちる。


でもその空気は、不思議と嫌ではなかった。


初兎は少しだけ視線を外してから、ふっと笑う。

初兎
ここでは、痛いのも怖いのも
みんなで半分こ。


その言葉は軽いのに、
どこか逃げ場を作ってくれるような響きだった。

初兎
お互い、無理せんとこうな。


そう付け足して、肩をすくめる。


“お互い”。


その言葉が、静かに残る。



ないこ
おーい初兎ー!先生が呼んでるー!


初兎は軽く手を上げる。

初兎
はいはーい


そして振り返る前に、もう一度だけ言った。

初兎
なんかあったら、
誰かに助けを求めるんやで。


その背中が遠ざかるのを見ながら、
ゆっくりと息を吐く。


手のひらの中に、まだ少しだけ“星の余韻”
が残っている気がした。


“痛いのも、怖いのも、半分こ”


その言葉だけが、
静かに頭の中で繰り返されていた。

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