救命救急センター
忙しなく鳴るモニター音
人の声
足音
そしてーーー
止まらない緊張感
新しく配属されたフェロー
その中に、一人
静かに立っている。
藍沢耕作の視線が向く
一瞬
空気が変わる
落ち着いた声
でも、どこか張り詰めている
白石恵が軽く頷く
そのやりとりの中でーーー
一瞬、藍沢が違和感を覚える
「……どこかで見たことがある」
でも、思い出せない
そのとき
アナウンスが響く
「救急搬送、重症患者」
一斉に動かす
初めての現場
心臓が早くなる
「落ち着け」
深呼吸
患者のもとへ向かう
眼の前に広がるのはーーー
命の現場
藍沢の声
その問いに、即座に答える
だがーーー
その視線が、一瞬止まる
その瞬間
頭の中に、別に光景が重なる
「…違う」
心臓が、強く脈打つ
「…大丈夫です」
自分に言い聞かせるように、そう答える
でもーーー
手は、わずかに震えていた
藍沢の声
その一言で意識が戻る
「今は現場」
「過去じゃない」
息を整え
処置に集中する
だがーー
その目の奥にある何かを
藍沢は、確かに感じ取っていた















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!