その約束は永遠に果たされることはなかった
季節は巡ることはなく春は来なかった
10年間銀色の世界が私の目の前に広がっていた
桃色の花は見ることはできないし
春を告げる鳥の鳴き声も聞こえることはない
何度も、何度も、自分の力を嫌った
あの時、___様に触れていれば
でも、触れたら____様は消えてしまうかもしれない
あの時手を伸ばせたのは私だけだった
届いたはずの手は暖かい手に触れることができなかった
さくらが選んだのは私ではなく雛菊様だった
でも正直その選択は正しいと思う
だって、その方がさくらは幸せだから
無機質は仮面は決して外れない
その顔も、声も、全てが偽り
やっと帰った
もうこれで会うことはない
棚にかけてある鍵を取り部署室のドアを閉めた
自身の足音以外は聞こえないような静かな廊下
本来存在してはならない季節の代行者
その愚かさゆえ神によって取り上げられた季節

















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。